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【Shapr3D 実践編】Shapr3Dで効率よくモデリングするためのテクニック

【Shapr3D 実践編】Shapr3Dで効率よくモデリングするためのテクニック

iPadで使える3Dモデリングツール「Shapr3D」でモデリングをします。Shapr3Dは直感的に操作できる便利なツールですが、他の3DCADとは異なる操作もあり、慣れるまではモデリングに時間がかかってしまいます。効率よくモデリングするためのちょっとしコツを交えながら解説するので、最後までご覧ください。

はじめに

今回は、モデリング例としてグライダーを作成します。グライダーはエンジンなどの動力源を持たない滑空機です。流線型のボディや、複雑に見える翼も工夫をすれば簡単に作成できます。

モデリングのボリュームが大きいので、基本的な操作は省略する場合があります。基本操作から学びたい方は、アプリ内のチュートリアルや他の記事を参考にしてみてください。

完成イメージ
完成イメージ

断面のスケッチを作成しよう

はじめに、ボディ断面のスケッチを描きます。今回は、断面のスケッチを作成した後、「ロフト」を使って流線型のボディを作成します。

まず、ゼロからモデリングをするのは難しいので、下書きとなる写真を挿入します。画面左上のアイコンから「インポート」→「写真」で取り込みが可能です。

インポート

今回は、下書きとして自分で描いたスケッチを挿入しました。

下書きのスケッチ

次に、視点を横からの視点に切り替え断面のスケッチを描きます。外側のスケッチはフィット点スプラインを使って描き、内側のスケッチには半径「0.3 mm」の円を描きました。半径「0.3 mm」の円は最前部と最後部に使用します。

スプラインで描いたスケッチ

スプラインで描いたスケッチは片側のみ描き、後から「ミラー」を用いて反対側にも同じものを作成します。「ミラー」を使えばモデリングの手間を大きく省けるので積極的に活用しましょう。

ミラーを用いてスケッチ

「ミラー」を用いて完全なスケッチを作成し、下画像のようになっていればOKです。大きさが下書きと合っていない場合は「移動/回転/スケール」を使ってスケールを調整しましょう。

「ロフト」で流線型のボディを作成しよう

「ロフト」を用いて、グライダーのボディを作成します。まず、先程描いたスケッチを使っていくつかの断面を作成します。「移動/回転/スケール」を選択し、スプラインで描いた外側のスケッチを選択。コピーにチェックをいれた状態で、スケッチを後方に移動します。

スケッチを移動したら、スケールを縮小して下書きの大きさに合わせましょう。黄色の矢印を動かすことでスケールを変更可能です。

「追加」→「構造平面」からスケッチを描く平面を新たに追加することも可能ですが、チュートリアルの動画を確認したところ、「中央付近にスケッチを描く」→「スケッチを任意の位置に移動」の方法がスピーディーに作業でき、多く用いられているようです。

スケッチを移動し、スケールを縮小して下書きの大きさに合わせる

さらに、「移動」や「コピー」を使って円形の断面を4つ追加しました。一番前と後ろは先程描いた半径「0.3 mm」の円を用いています。断面の数はいくつでも構いませんが、断面の数が多すぎると滑らかな曲面を形成するのが難しいので注意しましょう。

断面の追加

断面が作成できたら「ロフト」を使って、立体化します。「ツール」→「ロフト」を選択。描いた断面のスケッチを端から順に選択すれば、ボディを作成可能です。

ロフトでボディを作成

「ロフト」で翼を作成しよう

ボディと同様の方法で「ロフト」を用いて翼を作成します。はじめに、翼の断面を描きましょう。今回は、直線とスプライン曲線を組み合わせて下の写真のような断面を描きました。後方の厚みを小さくすると、よりリアルに仕上がります。

スプライン曲線とは、指定した複数の点を滑らかに繋いだ曲線です。曲率が連続的に変化する線を描きたい時に使います。

翼を作成

次に、「移動/回転/スケール」でスケッチを外側にいくつかコピーします。外側のスケッチは縮小してありますが、先端を揃えるようにして配置すると良いです。

スケッチをコピー

断面を作成したら、「ロフト」で立体化します。「ツール」→「ロフト」を選択。断面のスケッチを端から順に選択すれば翼を作成可能です。

ロフトで翼を立体化

片側の翼が作成できたら「ミラー」で反対側にも同じものを作成します。

尾翼を作成しよう

続いて、垂直尾翼を作成します。まず、下書きを元に四角形のスケッチを描きます。

四角形のスケッチを描く

スケッチを作成したら、両側に少し押し出します。

スケッチを押し出す

押し出しが完了したら、後方のエッジを選択し面取りをおこないます。後方のふたつのエッジを選択し、内側に押し込めば面取り可能です。今回は面取りを2回繰り返しました。

面取り

次に、水平尾翼を作成します。下に示したスケッチを参考にして、水平尾翼のスケッチを描いてみてください。

水平尾翼のスケッチを描く

スケッチが完了したら、スケッチを少し押し出し、エッジを調整します。今回は前面にフィレットを適用し、後方部分の一部を切り取り厚さを小さくしました。

スケッチを押し出してエッジを調整

水平尾翼を作成したら、上側に移動し先程作成した垂直尾翼に合体させましょう。

水平尾翼を垂直尾翼と合体させる

操縦席を作成しよう

「交差」を用いて操縦席の部分を作成します。「交差」とは、複数の立体形状同士で演算し、共通部分だけを残す処理です。頻繁に使われる操作ではありませんが、使えると便利なので覚えておきましょう。

まず、円弧や直線を使い、下書きに合わせてスケッチを描きます。後から「交差」を用いるので外側にははみ出しても大丈夫です。

操縦席のスケッチを描く

「交差」を用いるともとのボディがなくなってしまうので、「移動/回転/スケール」からコピーを作成し、端の方に移動させておきます。

「交差」を用いるともとのボディがなくなってしまうので、「移動/回転/スケール」からコピーを作成し、端の方に移動する。

次に、先程描いたスケッチを外側に引っ張ります。そのままでは「切り取り」になっているので、数字の横に表示されているマークを選択し、「交差」に切り替えましょう。

スケッチを外側に引っ張り、交差に切り替える

「交差」に切り替えると、下の写真のようにふたつの立体の共通部分のみが残されます。次のステップではこのボディは使用しないので、ここで上側に移動させておきます。

交差に切り替えると、ふたつの立体の共通部分のみが残される

操縦席の部分が作成できたら、横にずらしておいた大きなボディをもとの位置に戻します。位置を移動させたら、もう一度操縦席のスケッチを用いて、今度は切り取ります。

横にずらしておいた大きなボディをもとの位置に戻し、切り取りをする

これで、ふたつのボディがぴったり重なります。

ふたつのボディを重ねる

ふたつのボディを重ねるときに、エッジに小さめのフィレットを入れておくと、よりリアルに仕上がります。

エッジに小さめのフィレットを入れる

下の写真に示したように、ぴったり重なればOKです。

ふたつのボディを重ねる

前輪と後輪を作成して最後の仕上げをしよう

最後に、前輪と後輪を作成します。今回のモデリングでは前輪、後輪はあまり重要ではないので簡単に仕上げました。

まず、腹の部分と尾翼の付け根に二重の同心円をふたつ描きます。

腹の部分と尾翼の付け根に二重の同心円をふたつ描く

円の外側のスケッチを押し出して、フィレットを適用すれば簡単にタイヤの形状を作成可能です。

円の外側のスケッチを押し出して、フィレットを適用しタイヤを作成

中央の円も同様に押し出して、下の写真のように仕上げました。

中央のタイヤを仕上げる

このままでも、ほとんど完成していますが、よりリアルに見せるために、後輪にカバーをつけました。「押し出し」や「シェル」を組み合わせて簡単に作成可能です。

後輪にカバーをつける

細かい操作にはなりますが、前輪にも軸などを追加しました。この部分も、「押し出し」や「フィレット」を使えば簡単に作成できます。

前輪に軸を追加

以上で完成です。「ツール」→「色」からボディに彩色することもできます。

完成イメージ
完成イメージ

さらに綺麗に仕上げたい方は、「エクスポート」から他のソフトウェアでレンダリングすることも可能です。今回は、いくつか細かい修正を加えた後、Fusion 360でレンダリングしてみました。

Fusion 360でレンダリングして作成したイメージ
Fusion 360でレンダリングして作成したイメージ

おわりに

最後までご覧いただきありがとうございます。うまくグライダーを作成できたでしょうか? Shapr3Dはどこでも手軽にモデリングできる便利なツールです。Shapr3Dを使いこなして、モデリングを楽しみましょう。


石川 慎一

投稿者の記事一覧

宮崎県出身、青学理工学部の大学3年生です。ライター経験は少ないですが、専門分野の知識を交えながら、読みやすく分かりやすい記事を作成します。

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