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Autodesk、Arnold 7.4.4をリリース

Autodeskが、業界向け高品質レンダリングソフト「Arnold」の最新版となる『Arnoldバージョン7.4.4』を公開しました。

今回のアップデートでは、髪の質感や虹色の表面といった繊細な表現において描写精度が向上。さらに、シーン全体に自然な光のにじみを加えるブルーム効果を簡単に実装できる新機能が搭載されました。

あわせて、グローバルライトサンプリングの効率性も改善され、複雑なライティング環境でも高速なレンダリングが可能になっています。

Arnold7.4.4に新搭載された絞り『ブルームモード』

Arnold7.4.4では、レンズエフェクトイメージャーに新たなブルーム機能が追加されました。この機能は、光源が強いシーンで発生するリアルな光のにじみを再現するためのもので、上記の動画でもその効果を確認できます。

今回新たに搭載された「絞りブルームモード」は、実在の物理カメラが作り出すブルーム効果をシミュレートします。

特に、カメラの絞りに含まれるブレード(羽根)の枚数やそのカーブ形状を細かく調整できるため、より現実に近い光の表現が可能になっています。

髪の毛のレンダリング精度が向上、リアルなクローズアップ描写を実現

Standard Hairシェーダ
出典:Autodesk

3DCGの表現力をさらに高めるため、Standard Hairシェーダに新たな「精密モード」が追加されました。このモードでは、髪の1本1本を従来の平面ではなく円筒形状として捉えることで、クローズアップ時の描画精度が大幅に向上します。

レンダリング処理には従来の近似モードと比べて約10~30%の時間が必要になりますが、特にアップのシーンにおいてはより自然でリアルな質感を再現できます。なお、以前の描画結果を再現したい場合には近似モードを継続して使用することも可能です。

さらに、「アダプティブモード」も新たに搭載されました。このモードでは、視点に応じて髪の描写方法を自動的に切り替えます。具体的には、カメラに近い髪には高精度な描写を適用し、遠景では描画負荷の少ない近似方式を使うことで、品質と処理時間のバランスを最適化します。

このように、描画モードの進化により、ヘアレンダリングにおけるリアリティと効率性が大幅に向上しています。特に映像制作やゲーム開発の分野では、より洗練された髪表現が求められる場面で活用が期待されます。

OpenPBRサーフェスの薄膜の改良の画像
出典:Autodesk

マテリアルと照明の最新改善点について

texture_auto_generate_txスピードアップの画像
出典:Autodesk

虹色の表面表現に関連して、OpenPBRマテリアルにおける薄膜処理がより物理的な正確性を持つよう調整されました。これによりレンダリング時のエネルギー効率も向上し、よりリアルな質感が再現可能となっています。

照明に関しても複数の新機能が導入されています。具体的には、メッシュライトが影を投影するかどうかを選択できる機能が追加され、演出の自由度が向上しました。

また、ランプや負の密度値を持つライトブロッカーにも対応し、より柔軟なライティング表現が可能になっています。

パフォーマンスの大幅向上

最新のグローバルライトサンプリングでは、クワッドライトおよびディスクライトにおけるスプレッドパラメータが適切に反映されるようになりました。

これにより、スプレッド値が小さいシーンにおけるレンダリングノイズが軽減され、画質と処理効率の両面で改善が図られています。

オートデスクの発表によると、特に複雑な照明環境下では最大6倍の高速化を実現しており、一般的な4灯構成のテストシーンでも約1.4倍の速度向上が確認されています。

さらに、TXファイルの検証や不足ファイルの自動生成処理も最適化されており、とくに高性能なマルチコアCPUを搭載したWindows環境においては、レンダリング開始までの時間が短縮されています。

GPUレンダリング機能とノイズ除去機能の強化

GPUレンダリングに関する機能改善が実施され、モーションベクターシェーダーがGPUに正式対応しました。これにより、CPUとGPU間でのパラメータオーバーライドが統一され、より安定した描画処理が可能となっています。

また、インスタンスを描画する際のGPUメモリ消費が最適化され、パフォーマンス効率が向上しました。

さらに、Intelが開発した高品質ノイズ除去技術「OIDN(Open Image Denoise)」が、最新世代のNVIDIA Blackwell GPUおよびAMD RDNA 4 GPUに対応。これにより、次世代GPU環境においても高速かつ高精度なデノイズ処理が行えるようになりました。

統合プラグインのサポート

Arnoldレンダラーに対応した各統合プラグインがアップデートされ、新機能への対応が強化されました。3D制作ツールごとの最新バージョンは以下の通りです。

・3ds Max:MAXtoAがバージョン5.8.4へ更新
・Cinema 4D:C4DtoAが4.8.5にアップグレード
・Houdini:HtoAが6.4.5へ対応
・Katana:KtoAは4.4.4へ刷新
・Maya:MtoAが最新の5.5.5に対応

各プラグインはArnoldの新しい機能とパフォーマンス向上に最適化されており、より高品質かつ効率的なワークフローが実現できます。


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