OtoyがGPUレンダラーの最新アップデート版「OctaneRender2026.1」を公開しました。
今回のバージョンでは、3Dガウススプラットへの対応、MaterialXやOpenPBRをネイティブで扱える機能、新方式のメッシュレットシステムによる3Dジオメトリのストリーミングなど、注目度の高い要素が多数追加されています。
メッシュレット機能は本来OctaneRender2023系で導入予定だったもので、3DGaussianSplatsやMaterialXの対応は2024年版で予定されていた要素です。
複数の計画機能が統合されたかたちで実装された点は、制作環境を扱うユーザーにとって大きな強化と言えます。
さらに、トレースセットの追加、ニューラルラディアンスキャッシュの改善、ディスプレイスメント周りの処理強化など、作業効率と描画品質を底上げする変更も盛り込まれています。
高品質なレンダリングを求める制作現場にとって、より柔軟で強力なワークフローを実現するアップデートになっています。
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OctaneRender2026.1では、従来の標準メッシュをメッシュレット形式へ再構築できるようになり、ジオメトリ関連のGPUメモリ使用量を大幅に抑えられるようになりました。
上記の公式デモでは、約1.0GB必要だったデータが0.3GB未満に縮小されており、より軽量なシーン運用が可能になっています。
メッシュレットストリーミングで巨大3Dアセットを高効率レンダリング
メッシュレットストリーミングを活用することで、従来より大規模な3Dアセットを効率的に扱えるようになります。OctaneRender2026.1で特に注目されている機能の一つがこの仕組みで、パストレーシング向けに最適化された新しいジオメトリ処理方式とされています。
GPUメモリに収まりきらないほど巨大なシーンを扱う際でも、必要なデータを高速SSDから逐次読み込むことでレンダリングの低速化を抑えられます。ただし、その代わりにSSDの高速性能が求められる点は理解しておく必要があります。
通常のメッシュをメッシュレット形式へ変換する処理は、レンダリング前に行う前処理として位置づけられます。この工程は負荷が高く、元のジオメトリより4〜5倍ほど大きいデータが生成され、完了までに一定の時間を要します。とはいえ、一度ワークステーションで変換を終えてしまえば再生成の必要はありません。作成されたメッシュレットデータはORBXファイルには含まれず、OctaneRenderのキャッシュディレクトリに保存されます。
高解像度スキャンのように連続面で構成されたジオメトリとは相性が良い一方、CADモデルのような極端に密度の高いデータには向いていないとされています。
初期バージョンでは頂点モーションブラーや頂点ディスプレイスメントを扱えず、メッシュレットを利用できるのはローカルレンダリングのみです。
さらにOctaneRender2026.1では仮想テクスチャ機能も強化され、極めて大きなテクスチャを読み込みながらパフォーマンスを保てます。紹介映像では462k×387kという膨大なサイズのテクスチャをリアルタイムで処理する様子が示されています。
MaterialXとOpenPBRのサポート
OctaneRender2026.1では、最新のオープンマテリアル規格であるMaterialXとOpenPBRに対するネイティブ対応が追加されています。映像制作や3DCG分野で扱うマテリアルの標準化を進めるうえで重要な更新となります。
MaterialXはIndustrialLight&Magicが開発したマテリアル定義フォーマットで、VFX制作の現場で利用が拡大しています。ArnoldやHoudiniKarma、RenderMan、UnrealEngine、V-Rayなど主要レンダラーでも幅広く採用されており、異なるツール間でのマテリアル共有が容易になります。
OpenPBRはAdobeStandardMaterialやAutodeskStandardSurfaceを置き換える新しいシェーディングモデルとして設計され、多くのDCCツールで既に利用可能です。統一されたPBR表現を扱いやすくなるため、制作環境全体の互換性向上に寄与します。
その他の変更:トレース セット、ニューラル ラディアンス キャッシュ、ディスプレイスメントの改善
Octane2026.1では、レンダラーの表現力を高める新要素として、ArnoldやRedshift、RenderMan、V-Rayなどで採用されている仕組みに近いトレースセット機能が導入されています。
特定のオブジェクトをシーン内で不可視として扱い、影や反射への影響だけを制御できるため、アートディレクションの自由度が向上します。不要な影の投影や反射の写り込みを抑えたい場合に有効です。
テクスチャディスプレイスメント機能も刷新され、より高品質な処理モードが追加されました。メモリ負荷が軽減されたうえ、ディスプレイスメントマップは最大16Kまで扱えるようになっています。
現段階ではUV展開済みメッシュのみが対象ですが、Otoyは今後ほかの投影方式にも対応を広げる方針です。
さらに、レンダリング時に学習したネットワークを利用してノイズを抑えるニューラルラディアンスキャッシュ(NRC)も利用可能になりました。
特に間接照明が多いシーンで初期ノイズが減少し、作業の効率化に役立ちます。対応環境はWindowsとLinuxに限定され、macOS版のOctaneXでは利用できません。
加えて、現状はローカルレンダリングのみ対応で、ネットワークレンダリングでは使用できない仕様です。
OctaneRender 2026.1の新機能リストは、こちらから確認できます。
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