VFX制作やバーチャルプロダクションにおいて注目を集める3Dガウススプラッティング(3DGS)の活用をさらに推進する新プラグイン『VolingaPluginPro』が、Volingaから発表されました。
このプラグインはUnrealEngineへの統合を強化し、リアルタイムでの影の表現やHDR対応のワークフローを可能にするなど、プロフェッショナル向けの高精度なライティング機能を備えています。
制作現場での実用性を一層高める本製品は、次世代の3Dコンテンツ制作における新たな選択肢として期待されています。
3Dコンテンツプロジェクト実践ガイド(無料)を配布中!

今まで500件以上の3Dコンテンツプロジェクトを支援させていただいた知見をもとに、重要となるポイントや3Dならではの注意点を35ページのPDF資料にまとめました。3Dコンテンツプロジェクトの手引きとしてお使いください。
この記事の監修者
独学で3DCGを学び、フリーランスの背景モデラーとしてゲーム業界のコンシューマータイトルに多数参加。加えて、TV・Web広告、AR/VRコンテンツなど、多種多様な分野での制作実績を持つ。
MayaとBlenderの両刀遣い。得意分野はハードサーフェスモデリング。現在は3DCGゼネラリストとして、幅広い案件を担当している。
VolingaがUnrealEngine向け新プラグイン『VolingaPluginPro』を発表
3Dガウススプラッティング(3DGS)の技術をUnrealEngineに取り込む新たな手段として、Volingaは「VolingaPluginPro」をリリースしました。
これは同社の3DGSワークフローを統合できるプラグインの上位版であり、より高精度なライティング表現が可能になります。
このPro版では、UnrealEngine内で3DGSオブジェクトに対して影を正確に付加し、再照明できるようになったほか、HDRに対応したワークフローや、OCIO・ACESによるカラー管理にも対応しました。
Volingaはこの進化を「プロ仕様のスタジオやバーチャルプロダクションで3DGSを実用化するための重要な一歩」と位置づけています。
3Dガウススプラッティングとは、画像や映像から実在する物体を3Dとして再構築する新しい技術で、近年VFX制作やDCCツールへの導入が進んでいます。
UnrealEngineのVFX制作やバーチャル撮影における新たな選択肢として、注目を集めています。
VolingaのUnrealEngine向けプラグインは、3DGSを制作パイプラインに組み込もうとするVFXや仮想制作、放送業界のプロフェッショナル向けツール群の一部として提供されています。
同社が展開する主力製品「VolingaSuite」は、写真や動画素材から3DGSデータを生成するスタンドアロンソフトであり、disguiseなどの仮想制作プラットフォームとも統合可能です。
Volingaの技術は既に多くの制作現場で活用されており、パラマウント・ピクチャーズやRodeoFXなど、業界大手のVFXスタジオがその採用企業に名を連ねています。
Unreal Engine 内で 3DGS データをインポートおよびレンダリング
UnrealEngine上で3DGSデータの取り扱いを可能にする『VolingaPluginforUE』は、オリジナルのベースエディションとして提供されています。
このプラグインを使えば、3DGSデータのインポート、編集、レンダリングがUE内でシームレスに行えます。
本プラグインはVolingaSuiteとの連携を前提に開発されていますが、PostshotやNerfstudioなどの外部ツールで生成されたデータにも対応しており、PLY形式やVolinga独自のNVOL形式での読み込みが可能です。
ユーザーは複数の3DGSアクターをシーンへ追加し、UnrealEngineの標準パイプラインを活用したレンダリング処理が行えます。
また、被写界深度などのポストプロセスエフェクトにも対応しており、最終的にはUE5シーンへ出力できます。
VolingaプラグインPro:3DGSデータに対応したメッシュベースのライティング機能を拡張

基本版のVolingaには「加法ライティング」と呼ばれる方式が備わっており、3DGSアクターはシーン内の光源と連動しながらも生成時のライティング情報を維持します。
しかし、この方式では他の3DGSアクターや背景に影を投影できません。
対してProエディションでは新たにメッシュベースのリライティング機能が導入され、プロキシメッシュを用いてジオメトリや影、マテリアルまで再現できる仕組みが採用されています。
記事冒頭の映像では光源を動かした際、3DGSアクターが実際に影を落としつつ周囲の照明状態が再計算される様子が確認できます。
3DGSアクター編集を強化する新ツールとマルチGPU対応
VolingaのProエディションには、3DGSアクター内の不要なフローターやオブジェクトを効率的に除去できる「CullVolumes」と呼ばれる新機能が追加されました。
これはVolinga氏が「精密ツール」と表現するように、アクターの整理において高い精度を発揮します。
また、UnrealEngineにおけるnDisplayシステムへの対応により、LEDボリューム内の複数ディスプレイへ同時レンダリングが可能となりました。
マルチノードおよびマルチGPUを活用した大規模な制作環境にも対応しています。
HDRレンダリングと高度なカラーマネジメントに対応
Proエディションでは、HDRレンダリング機能に加え、OCIOおよびACES(ACES2065)によるカラーマネジメントにも対応しています。
色域管理が必要なプロフェッショナル用途に適しており、作品の色再現性をさらに高められます。
これらの機能は実際には基本エディションでも利用可能ですが、出力時にはウォーターマーク付きのプレビューのみとなります。
対応環境とライセンス料金
Volingaプラグインは、Windows版UnrealEngine5.3以降で動作し、NVIDIA製GPUが必須となります。
加えて、VolingaSuiteはWindows 11に対応したスタンドアロン型のアプリケーションとして提供されています。
いずれの製品もサブスクリプション制で提供されており、プラグインの基本エディションは年額119.88ユーロ(約150ドル)で利用可能です。
なお、ProエディションはStudioまたはEnterpriseプランでのみ利用でき、VolingaSuiteも含まれています。Pro版の料金については別途問い合わせが必要です。
3Dモデル制作サービス『モデリー』では、納得の価格、安定の品質であらゆる3Dデータを提供します。まずはお気軽にご相談ください。
3Dプリントが3日で届くサービス『3Dayプリンター』も展開しています。3Dモデリングから3Dプリント・塗装など後加工までサポートします。












