VRやARの普及に伴い、3DCGデザイナーの需要は今後高まるとされています。
また、日常生活やゲーム・映画などの多くの場面でCGの活用が進んでいることから、CGデザイナーの求人や案件も増加しています。
3DCGデザイナーは、ハイレベルなスキルを持つ人材は常に不足しており、スキルや経験次第で高年収を目指すことも可能です。
今後はAIを活用したデザインで幅が広がる職種となっているため、将来性のある職業として注目を集めています。
したがって、その制作を担当する3DCGデザイナーの確保に各社が力を入れており、転職を考えている人にとっては良い機会となっています。
しかし、自分の能力や実績をうまく伝えられず、書類選考の段階で落ちてしまう人も少なくありません。
そこでこの記事では、3DCGデザイナーのポートフォリオ作成方法やそのポイント、求められる技術やスキルを徹底解説します。
・3DCGデザイナーのポートフォリオの概要
・3DCGデザイナーに必要な技術
・3DCGポートフォリオの作成手順
・ポートフォリオ作成ポイント
この記事の監修者3DCGゼネラリスト / 3Dモデラー
独学で3DCGを学び、フリーランスの背景モデラーとしてゲーム業界のコンシューマータイトルに多数参加。加えて、TV・Web広告、AR/VRコンテンツなど、幅広い分野での制作実績を持つ。
DCCツールはMayaおよびBlenderに精通。ハードサーフェスからキャラクターモデリングまで対応し、フォトリアルからノンフォトリアルまで幅広い表現に対応できるスキルを有する。現在は3DCGゼネラリストとして、すべての工程を一貫して担当。
そもそも3DCGポートフォリオとは?
3DCGのポートフォリオは、自身の作品を集めたもので、就職や転職の際にアピールするために使用されます。
3DCGの職種に採用されるためにはポートフォリオが一番重要になります。
作品を見てもらい、興味を持ってもらえれば、自分のスキルを最大限に発揮できる場での活躍が可能になります。
一般的に、3DCGのポートフォリオには作成したモデル、映像、アニメーションなどが含まれますが、これは3DCGに限らず、イラストやデッサンなどの芸術作品にも応用できます。
静止画や動画を組み合わせることで、3DCGに関する能力を効果的にアピールでき、過去の実績を伝える資料にもなります。
そのため、過去の作品を整理してポートフォリオを作成することが必須になります。
また、3DCGの技術に自信があっても、ポートフォリオの質が低ければ、その実力は伝わりにくくなります。
ポートフォリオの完成度が非常に重要であり、しっかりとしたポートフォリオを作成することが不可欠です。
質の高いポートフォリオを作成することで、就職や転職のチャンスを広げられるため、どのような作品を作り上げてきたか、そして自分が何をできるのかを明確に伝えることが重要になってきます。
3DCGデザイナーに必要な5つの技術
ここでは、3DCGデザイナーに必要な5つの技術を詳しく解説します。
1.デッサン能力
2.表現力と美的センス
3.技術力と最適化能力
4.空間把握能力
5.コミュニケーション能力
3DCGデザイナーに求める能力は多岐にわたりますが、特に上記のスキルが必須とされています。
まずは自分のスキルを再確認し、ポートフォリオで強調できる部分をしっかりアピールしましょう。
それではここから、3DCGデザイナーに必要な技術を1つずつ紹介します。
1.デッサン能力

3DCGデザインは2Dデザインとは異なり、リアルなモデリングが必要であることから、高いデッサン能力が求められます。
立体的であるだけでなく、違和感のない表現が求められ、人物や動物は生きているかのように見えることが重要です。
また、髪の毛や衣装などの動きのある部分は滑らかに、地面や建物などは硬さや質感を再現する必要があります。
3DCGデザインの基礎は、『物を的確に捉えるデッサン力』であり、採用担当者は完成した3DCGだけでなく、2Dのデッサンも評価し、造形力や観察力を見ています。
デッサン力は日々の練習で向上するため、日常的にスケッチなどでトレーニングを続けることが重要です。
2.表現力と美的センス

映像を見て「すごい」「本物みたい」と感じさせるだけでなく、「このゲームで遊びたい」「このキャラクターを動かしたい」「この世界を冒険してみたい」と思わせるような作品の制作が求められます。
そのためには、自分が表現したい世界観がしっかりと伝わるポートフォリオ作りが必要です。
3DCGの表現力と美的センスを磨くには、映画やアニメ、写真、絵画など良質なビジュアル作品を日常的に観察することが大切です。
気に入った構図や色使いを真似して再現する練習を繰り返すことで、表現の引き出しとセンスが自然と身につきます。
それらを応用して自分らしい表現ができれば、プロへの第一歩になります。
3.技術力と最適化能力

3DCGデザイナーは、高い技術力と様々な環境に対応した最適化能力が必要です。
3DCGデザインでは、データが大きくなるほど、読み込み時間は延びてしまいます。
特に、スマートフォンはメモリ容量が限られているため、大容量で高精細なモデルを展開しようとすると、ゲームなどの安定性に影響を与える可能性があります。
したがって、3DCGデザイナーには高品質のグラフィックを表現する技術に加えて、低容量で美しいモデルを作成する技術も必要とされています。
4.空間把握能力
3DCGデザイナーには、作成するモデルのイメージ画や資料を見て、それを立体化された映像として瞬時にイメージできる空間把握能力が求められます。
もっと詳しく言うと、形状の凹凸、各パーツの前後関係、光が当たったときの影の落ち方、可動部分が動いた際の形状変化などを想像する能力が必要です。
つまり、各方向からどう見えるかを展開して考えるスキルが、3DCGデザイナーが効率的にモデリングを進めるために必要になるということになります。
採用担当者は、この能力があるかどうかを、ポートフォリオに掲載された3DCG作品や、多面体のデッサン、顔の面取りなどを通じて評価します。
5.コミュニケーション能力
3DCGデザイナーに限らず、全ての業種において最低限のコミュニケーション能力は必要です。
3DCG制作は一人で行うものではなく、同じCGセクションのメンバーと作り方を相談したり、リーダーに作品の意図を伝えたりする場面が日常的にあります。
また、同じプロジェクトに関わるプランナーやエンジニアに対して説明を求められることも少なくありません。
自分が制作するモデルや作品の概要、制作意図、納期などを明確に伝えられなければ、チームでの3DCG制作は困難になります。
ただし、営業職などとは違い頻繁に人と話す職種ではないため、高度なコミュニケーションスキルは求められません。
大切なのは、チームメンバーを不快にさせない話し方や、状況を改善するための建設的な会話ができることが求められます。
3DCGポートフォリオの作り方
3DCGのポートフォリオを作成するためには、必要なものを準備し、手順をしっかりと把握することが重要です。
一般的にはPDFにまとめて応募時に送りますが、最近ではホームページを作成して共有する方法も多くなってきました。
アニメーターやコンポジターは動画のほうが伝わりやすいのでこちらのほうが有利でしょう。
ここでは、3DCGポートフォリオの作り方を1つずつ詳しく解説します。
1.自信があるポートフォリオを選定する
2.プロフィールを作成する
3.制作工程の公開(ブレイクダウン)
4.デモリールを作成する
5.アピールページを作る
それでは1つずつ解説します。
1.自信があるポートフォリオを選定する
3DCGポートフォリオ作成手順の1つ目は、これまでに制作した作品の中から、特に自信のあるものを選んで準備することです。
すべての過去作品を盛り込むと、ポートフォリオが過剰な情報で溢れてしまう可能性があります。
優れたポートフォリオは、ひと目で興味を引き、作品の内容や技量を理解できるため、簡潔でわかりやすく、見やすいポートフォリオを目指すことが重要になります。
2.プロフィールを作成する
3DCGポートフォリオ作成手順の2つ目は、プロフィール作成です。
プロフィールには、名前などの基本情報と経歴を簡潔にまとめて記載します。
また、これまでに携わった作品名や受賞歴があれば、それも書き加えることをおすすめします。
さらに、使用しているソフトやツールの名前を記載することで、自分が何を扱えるのかを明確に伝えられます。
それらのソフトやツールを使ってきた年数や頻度などの具体的な情報を加えると、実力をより効果的にアピールできるため、採用率が高まります。
3.制作工程の公開
完成した画像や映像だけを見せるだけでは、その裏にあるスキルや工夫まではなかなか伝わりません。どのような過程を経てその作品が出来上がったのかを見せることで、より自分の能力をアピールできるようになります。
たとえば、コンセプトアートがある場合は、それを一緒に掲載することでアイデアの出発点や世界観の方向性を伝えられます。
また、制作時に参考にしたリファレンス画像があれば、それを提示することでデザインや構成に対する意図やリアリティへのこだわりも表現できるでしょう。
さらに、マテリアルの設定画面やテクスチャを作成している様子など、自分が工夫したポイントを具体的に見せることで、ポートフォリオにより説得力が加わります。技術的な深みや独自性が伝わるので、閲覧者の印象にも残りやすくなります。
このように、作品の「完成までの道のり」を見せることで、ただの作品紹介では終わらない、印象に残るポートフォリオがつくれます。
4.デモリールを作成する
自分のスキルやセンスをより直感的に、そして効果的に伝える方法として、デモリール(作品紹介動画)という方法があります。
特に3DCG業界では、動画でスピーディーに内容を把握できることが重要視されています。採用担当者やディレクターは、多忙な中で多数のポートフォリオに目を通しています。そんな中で、「短時間で内容が伝わるデモリール」は、あなたの強みや得意分野をしっかり印象づけるための強力な武器になります。
デモリールでは、静止画では伝えきれない表現力をアピールできます。たとえば、アニメーションの滑らかさや、エフェクトの演出力、ライティングや質感の変化など、動画だからこそ見せられるポイントは数多くあります。
また、構成力や演出力も問われるため、単に作品を並べるだけではなく、「どう見せるか」にもセンスが問われます。BGMの選定、カットのテンポ、タイトルやテロップの付け方など、編集技術も含めて一つの作品として仕上げましょう。
特にアニメーターやVFXアーティストを目指す人にとっては、静止画だけでは伝わらない動きや変化のクオリティをアピールすることが重要です。
5.アピールページを作成する
3DCGのポートフォリオは、作品を作るだけでなく「見てもらえる場所に置くこと」がとても大切です。どれだけ高いスキルを持っていても、誰にも見られなければチャンスにはつながりません。面接の際にはPDFファイルを渡すことが一般的ですが、企業の採用担当やクライアントは、ネット上でポートフォリオをチェックすることも多くなってきました。だからこそ、常にアクセスできる状態で公開しておくことが重要です。
ポートフォリオ公開におすすめのサービスとしては、ArtStation、Sketchfab、Behanceの3つがあります。それぞれ特徴は違いますが、どれも業界内で信頼性が高く、プロも多く利用しているプラットフォームです。
ArtStationは、CG・ゲーム・VFX業界で特に広く使われており、作品にタグをつけたり、プロジェクトごとにまとめたりといった機能が豊富です。見た目の印象も良く、海外では就職・転職の場でもよく使われます。
Behanceは、Adobeが運営するポートフォリオプラットフォームで、3Dに限らず映像・グラフィック・デザインなど幅広い分野と相性がよく、UI/UXとの組み合わせやアート寄りの作品をアピールしたい人に向いています。
Sketchfabは、3DモデルをWebブラウザ上でインタラクティブに見せられるのが特徴で、モデリングやテクスチャの細かい部分まで確認してもらいたいときに効果的です。回転・拡大もできるので、作品の構造や作り込みをしっかり伝えられます。
より自由にサイトを作るには、以下のような無料で使えるWebサイト作成サービスが便利です。
Wix は、豊富なテンプレートと直感的な操作で自由度の高いデザインが可能なサービスです。画像や動画の配置がしやすく、視覚的にインパクトのあるポートフォリオを簡単に作成できます。
STUDIO は、日本語対応で操作性も高く、コード不要でモダンかつ洗練されたデザインのサイトが作れます。3DCGの魅力を引き立てるような美しいレイアウトが可能です。
Adobe Portfolio は、Adobe Creative Cloudユーザー向けに提供されており、PhotoshopやBehanceとの連携がスムーズ。プロフェッショナルな仕上がりのサイトを短時間で構築できます。
これらのサービスを活用することで、自分の作品をより魅力的に発信できるポートフォリオを手軽に作成できます。
どのサービスを使うにしても、重要なのは「自分の強みが伝わる形で整理されているか」です。使用ツールや制作期間、役割を明記し、見やすく整えられていれば、それだけで信頼度が上がります。完成品だけでなく、工程や工夫も簡単に添えると、より説得力のあるポートフォリオになります。
常に最新の状態を保ち、自分の成長を発信し続けることが、新しい仕事やチャンスにつながっていきます。
3DCGデザイナー職種別ポートフォリオ作成のポイント
3DCGデザイナーといっても、その職種は多岐にわたるため、希望する職種に合わせてポートフォリオの内容を工夫することが求められます。
また、新しい職種に挑戦する際にも、転職後に担当したい職種で役立つスキルをアピールするために、作品を見直すことが重要です。
ここでは、3DCGデザイナー職種別ポートフォリオ作成のポイントを詳しく解説します。
1.モデラー
2.リガー
3.アニメーター
4.エフェクター
5.コンポジター
6.テクニカルアーティスト
7.ライティングアーティスト
8.シネマティックアーティスト
1.モデラー


モデラーは大きく分けて「キャラクターモデラー」と「背景モデラー」に分類されます。
ここでは、両者に共通するポイントを抜粋してご紹介しています。
3Dモデラーのポートフォリオでは、「完成されたビジュアル」だけでなく、そのモデルが“正しく使えるかどうかが非常に重要視されます。見た目だけで判断されることは少なく、制作の丁寧さや再現力、データ構造の理解までが問われます。
まずチェックされるのはトポロジーの綺麗さです。
無駄なポリゴンがないか、エッジフローは自然か、五角形以上の面(ngon)は含まれていないか。これらはゲーム・映像問わず基本中の基本です。ワイヤーフレームのスクリーンショットを載せることで、採用側も安心してチェックできます。
特にゲーム業界を目指す場合は、三角ポリゴンに分割された状態のワイヤーフレームを見せるのがおすすめ。最終的にゲームエンジンに取り込まれることを想定して、実用的なデータ構造であることが伝わります。
映像向けであれば、四角ポリゴン中心でサブディビジョンに対応できる構造が好まれます。五角形以上の面や、ねじれたポリゴン、凹型ポリゴン(コンケーブ)などは避け、スムーズな分割ができる状態であることが重要です。
トポロジーと並んで重要なのが、UV展開とテクスチャの品質です。
UVが綺麗に配置されているかどうかは、モデルのテクスチャ精度や効率性に直結します。無駄なスペースがなく、歪みの少ないUVレイアウトを載せておくことで、丁寧な仕事ができる人材としての印象が強まります。
そして、テクスチャそのものの完成度もアピール材料になります。PBR(物理ベースレンダリング)に対応したマテリアル設定ができているか、金属や布、皮膚などの質感がリアルに再現されているかなど、業界では細かくチェックされます。
たとえば:
- ベースカラー・ノーマル・ラフネス・メタリックの使い分け
- テクスチャの解像度と効率(例:必要以上に高解像度なものを使っていないか)
- Substance 3D PainterやPhotoshopなどでの調整力
なども、静かに見られています。
可能であれば、テクスチャの完成画像を掲載すると、説得力がぐっと増します。
ポートフォリオは「作品集」であると同時に、「あなたの仕事の進め方」を見せるツールでもあります。
どんなにかっこいいモデルでも、構造が破綻していれば実務では使えません。トポロジー、UV、テクスチャ、それぞれが現場で使える”状態になっていることを見せられれば、採用担当の目にしっかりと留まります。
完成ビジュアルだけでなく、プロセスと技術の裏付けを一緒に見せることが、プロとしての第一歩です。
2.リガー(リギングアーティスト)

リガーのポートフォリオでは、「どれだけキャラクターやプロップを自由に、正確に動かせるように設計できるか」が重要になります。
見た目の派手さよりも、使いやすさや柔軟性、そして効率的なリグ構成がどれだけ考えられているかが評価のポイントです。
ポートフォリオには、完成したリグだけでなく、操作している動画やインターフェースのキャプチャを掲載しましょう。
コントローラーの配置、IK/FKの切り替え、スイッチの仕組み、非破壊な構造など、工夫した部分を具体的に見せることで、技術力や設計の考え方が伝わります。
また、スクリプトやツールを使ってリグの自動化や効率化を行っている場合は、それも強みになります。
使用した言語やソフト、セットアップの流れ、開発したツールの簡単な説明などを添えると、より説得力のある内容になります。
実際にアニメーターが使うことを前提とした設計ができているかどうかも重要な評価ポイントです。
動かしやすさ、軽さ、再利用のしやすさなど、リグの使い心地に配慮した工夫が見えると高評価につながります。
どんなに優れたリグを組んでいても、それが伝わらなければ評価されません。
動画やキャプチャを活用しながら、動作や仕組みが一目でわかるポートフォリオを目指しましょう。
3.アニメーター
出典:ArtStation
3DCGアニメーターとして就職・転職を目指すなら、ただ作品を並べるだけではなく、“動き”の魅力をどう伝えるかが鍵になります。アニメーターのポートフォリオにおいて最も重視されるのは、キャラクターやオブジェクトを「どう動かせるか」という部分です。
まず必須なのが、リール(アニメーションデモリール)の作成です。静止画だけでは動きの質やタイミングが伝わらないため、アニメーターのポートフォリオにおいては動画が必須とされています。
キャラクターアニメーションであれば、感情表現や演技、重心移動の自然さ、メカやカメラワークが関わる場合であれば、動きのキレやダイナミクスなどがチェックされます。
採用担当者が見ているポイントは、派手さではなく「基礎がしっかりしているか」「動きに説得力があるか」です。たとえば、歩き・走り・ジャンプといった基本動作、重たいものを持ち上げる動作などは、見た目以上にスキルが問われるシーンです。逆に、あまりに複雑な演出ばかりを見せても、基本ができていなければ評価は上がりません。
加えて、使っているリグやモデルが他人のものか、自作かも明記しておくと親切です。特にフリーリグを使っている場合は、きちんとクレジットを入れましょう。誠実さや業界理解も評価対象になります。
また、動画の構成や長さも重要です。1〜2分程度にまとめ、冒頭に自信作を持ってくると効果的です。テンポよく、見る人が飽きずに最後まで見られるように工夫しましょう。
そして意外に見落としがちですが、絵コンテやモーションリファレンスなどの制作過程も、できれば一部載せておくと好印象です。「どういう意図でその動きをつけたのか」が見えると、アニメーションに対する理解力や演出力も伝わります。
4.エフェクター(エフェクトアーティスト)

3Dエフェクトは、作品の雰囲気や迫力を大きく左右する重要な要素です。ポートフォリオでは、ただ派手な表現を見せるだけでなく、「何をどう表現したかったか」が伝わることが求められます。
作品に込めた意図や世界観を補足するコメントがあると、見る側に理解されやすくなり、評価も高まります。
また、映像向けなのかゲーム向けなのかといった用途を明記するのもポイント。求められる技術が異なるため、目的に合った構成が重要です。
静止画では魅力が伝わりづらいため、動画(デモリール)でのアピールは必須です。動きの流れや消え際、処理の工夫など、映像でしっかりと魅せましょう。
技術力と演出力の両方を伝えるために、マテリアルやシェーダー、テクスチャの構成なども一部見せると、さらに説得力のあるポートフォリオになります。
5.コンポジター(VFXアーティスト)
出典:ArtStation
3Dコンポジターのポートフォリオでは、完成映像の美しさだけでなく、その映像がどのようなプロセスで作られたのかを伝えることがとても重要です。
特にブレイクダウン動画を用意して、どのような素材を使い、どのように合成し、色調整やマスク処理を行ったかを段階的に見せることで、自分のスキルを効果的にアピールできます。
合成力はもちろん、色味の調整や光の馴染ませ方、フォグやグレインの足し方など、細かな映像処理のセンスも評価対象になります。
最終的な見た目を整える力があるかどうかは、ポートフォリオからしっかりと伝わります。
また、使用したソフトやプラグイン、どこまでを自分が担当したのかも明確にしましょう。
NukeやAfter Effects、Fusion(DaVinci Resolve)など、使えるツールがはっきりしていると、採用側も判断しやすくなります。
完成映像だけでなく、どう仕上げたのかというプロセスを伝えることで、「この人なら任せられる」と思ってもらえるポートフォリオになります。
6.テクニカルアーティスト

3Dテクニカルアーティストのポートフォリオでは、ビジュアルの完成度だけでなく、裏側の「仕組み」や「効率化」にどれだけ貢献できるかを示すことが大切です。
派手な絵を作ることよりも、ワークフローの最適化や自動化、データの最適な構造化などにフォーカスした内容が求められます。
たとえば、スクリプトやツールを作成した場合は、その機能や導入前後の比較、ワークフローがどう改善されたかを実例付きで紹介すると説得力が増します。
シェーダーやリグ、ノードベースのセットアップなども、ただ完成品を見せるだけでなく、構造や工夫した点を図解や画面キャプチャ付きで説明すると評価されやすくなります。
また、どのソフトやエンジン、言語を使っているかも明記しておくと、チームにどうフィットする人材かがイメージしやすくなります。
ゲームエンジンとの連携や、最適化処理、リアルタイムレンダリングの工夫など、プロジェクトに貢献した技術的な成果を明確に示すことが大切です。
見た目だけでなく、「どう動くか」「どう作業が楽になるか」を伝えられるポートフォリオが、テクニカルアーティストとしての信頼に繋がります。
7.ライティングアーティスト

ライティングは、シーンの雰囲気やキャラクターの感情を伝えるためにとても大切な要素です。ポートフォリオでは、自分のライティングがどのように作品に影響を与えているかが伝わることが重要です。
ゲームでも映像作品でも、光によって「いつ」「どこで」「どんな空気感か」を感じさせられます。
同じシーンでも、昼・夕方・夜など時間帯を変えて見せたり、ライティング前と後を比較することで、自分の演出力を効果的にアピールできます。光でシルエットを際立たせたり、視線を誘導する工夫もプロらしいポイントです。
また、色温度や明暗のバランスを調整することで、暖かさ・冷たさ・静けさなど、繊細な雰囲気を作り出せます。
映像用途では特に、カラーグレーディングも重要です。画面全体の色味やトーンをコントロールすることで、映画のような表現や物語の感情の流れを強調できます。
Unreal EngineやMaya、Nukeなど、使っているツールや技術(リアルタイム/オフライン、ベイク有無など)も明記すると信頼性が高まります。
ただ光を当てるのではなく、「なぜこのライティングにしたのか」という意図が伝わることが、一番のポイントです。
作品数は多くなくても、しっかり考えて作られたシーンを丁寧に見せることが、良いポートフォリオにつながります。
7.シネマティックアーティスト(カットシーンアーティスト)
出典:ArtStation
シネマティックアーティストとしてのポートフォリオは、映像業界向けとゲーム業界向けで求められる内容やアピールポイントが異なるため、それぞれに合わせて構成することが重要です。
映像業界向けのポートフォリオでは、VFXやCGIを駆使した高品質なカットシーンを中心に掲載しましょう。リアルな質感表現、空気感を演出するライティング、ドラマを引き立てるカメラワークやカラーグレーディングなど、映像的な演出力を示すことが評価されます。
完成した映像に加えて、ビフォー・アフターの比較、コンセプトアート、制作過程なども含めることで、企画から仕上げまでのプロセスを伝えられます。
使用ツールや担当範囲を明記することも忘れずに行ってください。
ゲーム業界向けのポートフォリオでは、リアルタイムエンジン(Unreal EngineやUnityなど)を使ったカットシーンやトレーラー映像の制作実績を中心に構成します。プレイヤー体験と結びついた演出や、限られたリソースの中で工夫したリアルタイム演出の工夫が評価されるポイントです。
ゲーム特有の演出意識として、テンポ感、視認性、カメラ制御などへの配慮が伝わる構成が望ましく、どのようなシーンをどのような意図で演出したのかを簡潔に説明することで説得力が高まります。
両業界での作品を持っている場合は、それぞれの強みが活きるように分けて掲載し、演出と技術の両面で対応できる柔軟性と応用力を印象づけましょう。
まとめ
本記事では、3DCGポートフォリオの概要や3DCGデザイナーに必要な技術、ポートフォリオの作成方法を徹底解説しました。
また、3DCGデザイナー職種別のポートフォリオ作成ポイントも紹介しています。
・3DCGポートフォリオは、自身の作品を集めて就職や転職の際にアピールするための資料のようなもの
・3DCGデザイナーには、5つの技術が必要
・3DCGポートフォリオは5ステップで完成する
・3DCGデザイナーはポートフォリオの内容を工夫する必要があるため、各ポイントを抑えておく
3DCGポートフォリオは、就職や転職時に自身のアピール資料として使われ、採用担当者に興味を持ってもらうことで採用率が高まります。
ポートフォリオは、応募者のスキルを示す最も重要な資料で、履歴書や職務経歴書よりも価値があります。
どれほど素晴らしい経歴や大規模なプロジェクトに関わっていたとしても、ポートフォリオが評価されなければ、採用までの道のりは遠くなります。
そこで、本記事で紹介したポイントを踏まえ、自分のスキルを最大限にアピールできるポートフォリオを作成しましょう。

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