3Dモデルの表現法について
前回の記事では、3Dモデルの概念について詳しく解説しました。
今回は、実際にコンピューターを用いた3Dの立体的な表現方法について紹介します。
3Dモデルの表現は主に3つの方法をベースにしながら製作します。
<3Dモデルの3つの表現法>
・ワイヤーフレーム
・サーフェス
・ソリッド
画像出典元:http://d-engineer.com/3dcad/3dmsyurui.html
3Dモデルの立体感をコンピューターで表現する技法は、大きく分けて「ワイヤーフレーム」「サーフェス」「ソリッド」の3つに分類されます。
3つのモデルの違い
形状を線のみで表現したものは「ワイヤーフレーム」です。
立方体を2つ並べれば、全く同じに形状に見えますが、その片方の内部が空洞だとしましょう。
これを真二つに切断してみてください。片方は内部が詰まった直方体になるのに対し、右は内部が空洞の箱のような形になります。このように内部が詰まっているものを「ソリッド」、内部が空洞の状態で面の集合からなるものを「サーフェス」といいます。
1990年以前のものは、平面での作成のもが一般的であったため、ワイヤーフレームやサーフェスで形状を表現するタイプのものしか存在しませんでした。理由はソリッドを表現するだけの処理能力を持ち合わせえたパソコンが普及していなかったからです。
1990年代になると、「Windows NT」が販売されるようになった頃からパソコンの性能が一気に向上し、ソリッドタイプの3D-CADが急速に普及しました。現在、販売されている3D-CADの多くは「ソリッドモデル」なのです。
ただし、サーフェスは機能としての利点が多いため、「サーフェス」と「ソリッド」の両者の機能を合わせ持つものが現在の主流となっています。
ワイヤーフレームモデルとは
ワイヤーフレームモデルは、立体形状を頂点と線で結んで表現されたモデル。
この方式を利用して3D形状を作るCADはありませんが、形状をイメージする設計の初期段階で、ワイヤーフレームを用いる場合が一般的です。
使用例として、L型のパイプを想像してください。これを3D-CADで設計イメージを作成し、基本的な構造を決定する際に、このワイヤーフレームが使用されます。L型パイプの中心軸として軌道が必要になります。この折れ曲がった部分にパイプの形状となる肉づけを行い、形を成形していくのです。
ワイヤーフレームは、データ量が少ないため表示速度に優れます。表示速度に優れるため、ソリッド形状をワイヤーフレームの表示にして作業を進める場合もあります。
サーフェスモデルとは
ワイヤーフレームモデルの基礎構造に面情報を骨組みを加えたものが「サーフェスモデル」です。あくまで表面部分の情報なので、内部までを作ることはできません。特にこのサーフェスモデルは、複雑な表面形状を作るのに適しています。
一例には車のボディー部分等があります。車の表面部分も複数の面から構成されているため、こうした表面形状を作成する際に有効な方法なのです。しかし、サーフェスは、ソリッドのように中身を持たないため、内部作成や体積を求められません。
ただし、”サーフェスモデルは、3Dプリントできないモデルが多い”という注意点を念頭に入れましょう! CGモデルとCADモデルは別なのです。
▼特にCG系のモデルは、見た目は3Dだが中身が詰まっていないケースが多い
そのため、最終的にはサーフェスをソリッドに変換して利用されます。
サーフェスで作成したモデルであっても、最終的にはソリッドに変換するのが一般的で、このソリッドへの変換する方法には、主に3つの方法が挙げられます。
<サーフェスを変換する3つの方法>
- サーフェスに厚みを加える
- サーフェスでソリッドを削る
- サーフェスを閉じた空間に変換する
こちらについて説明しますと、
1).サーフェスに厚みを加える
作成したサーフェスに厚みの情報を付加することでソリッドタイプに変更します。特に自動車のボディー等、一定の厚みをもつ製品に利用されます。
2).サーフェスでソリッドを削る
直方体等の単純なソリッド形状を作成し、サーフェスでソリッドを削ってソリッドに変更します。
3).サーフェスを閉じた空間に変換する
複数のサーフェスで閉じた空間を作ります。ダンボールに蓋をするイメージです。
ソリッドモデル
ソリッドモデルは、サーフェスモデルの中身が詰まったモデル。中身が詰まっているので、体積、重心、重量等の幾何情報の計算が可能です。
現在販売されている機械用CADの多くが、「ソリッドモデル」のタイプになります。ソリッドは、直方体や円柱などの単純な形状を作るのに適している機能です。単純な形状なため、操作はサーフェスと比較して容易であることが特徴です。
3D-CADの操作を習得する場合、ソリッド機能から学んでいくのが良いでしょう。
まとめ
このように、現在3Dモデルを利用される際には、このソリッドモデルタイプが主に利用されますが、「ソリッド」や「サーフェス」の特徴を理解して、上手に使い分けることが重要なのです。
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