Zbrush Coreをこれから導入する人にはもちろん、すでに導入している人も実は意外と把握していない操作方法があるのではないでしょうか。今回は、基本操作と便利な応用操作を紹介します。みなさんの創作のお役に立てれば幸いです。
なお、この記事ではペンタブレットを使用しているものとして説明させていただきます。マウス操作の場合、説明内の「触る」を「左クリック」に、「ペン」を「マウス」に置き換えてください。
目次
視点操作
わかりやすいようにライトボックス内にあるDemoSoldierを使って説明します。
視点操作は画面右側のボタン、もしくは赤枠内の何もない空間を触ると変更できます。
オレンジ色が現在ONになっているボタン、黒がOFFのボタンです。触っても色が変わらないボタンは触った状態でマウスを動かすと操作ができます。順に説明します。
パース
ONにすることでオブジェクトを奥行きがある視点で見ることができます。しかし、造形中は歪みの原因になるため基本はOFFで作業しましょう。
ふたつの画像は同じ視点で見た画像ですが、最初の画像がパースON、次の画像がパースOFFです。ONの場合は明らかに手前側が大きくなっています。
フロア
オブジェクトの下部に床のような線が表示されます。オブジェクトの向きを把握しやすいのでONにしておきましょう。
移動
触った状態でペンを動かすとオブジェクトの向きはそのままに、ペンを動かした方向に移動します。スライドするイメージです。
ズーム
拡大縮小をおこないます。このとき、最後にオブジェクトに触った位置を中心に動きます。
回転
オブジェクトを回転させます。これも最後にオブジェクトに触った位置が基準です。
フレーム
画面からはずれてしまったり、拡大しすぎてしまったりしたときはこのボタンを押しましょう。するとオブジェクトが画面に収まるように調整してくれます。
画面赤枠内の空白を触って操作する場合
触った状態でペンを動かすと回転、altを押した状態で触りそのまま動かすと移動、ペンを触った状態でaltだけ離すとズームとなります。
フレームボタンに対応する操作は、Fキーを押すことでフレーム操作ができるようにショートカットが割り当てられています。
もうひとつ便利な機能として、オブジェクトの正面を基準にして90度ずつ視点を変更できます。shiftを押しながら画面の空きスペースを触ることで、オブジェクトを回転させることなく、決まった角度からオブジェクトを確認できます。
ボタンでの操作もわかりやすいですが、画面を触って操作する方法をマスターしておくと圧倒的に操作しやすくなります。できれば画面を触りながらの操作をおすすめします。
ブラシ操作
ブラシとはオブジェクトをスカルプトするためのツールです。同じブラシでも設定次第でさまざまなスカルプトができます。
ブラシの変更
画面下の赤枠内のボタンを押して変更します。現在選択しているブラシは黄色の枠内に表示されます。
ブラシのサイズ、焦点、強度
ブラシがオブジェクトにどのくらいスカルプトするかを決めるものです。画面緑枠内のスライダーで操作します。サイズのスライダーを動かすとブラシの円が動き、大きさを変更できます。
赤丸がドローサイズ64でスカルプト、黄丸が140でスカルプトしたものです。
焦点は、ブラシポインタ(赤い円が二重になった部分)内側の円を操作するものです。
サイズではどちらも大きく、または小さくなりましたが、焦点は内側だけが変化します。内側の円の中が特に大きくオブジェクトを変化させ、内側と外側の間の空間は外に向かうにつれて変化が少なくなっていきます。
下が焦点0、上が焦点マイナス100です。マイナス100では内側の円が完全に外側の円と重なり、その状態でスカルプトすると円が重なったようにスカルプトされます。あまり極端に大きい数字にしない方がいいでしょう。
もちろんこれを利用したやり方もありますので、実際に触って感覚をつかんでください。
強度はスカルプトの盛り付けの強さと考えてください。
赤丸が強度25、黄丸が強度50です。50のほうがより多く膨らんでいます。
zadd、zsub
四角枠内のボタンはブラシの動作を反転できます。現在選択中のブラシは通常は盛り付けるブラシですが、zsubを押すと丸枠内のように削ることができます。
これはaltキーを押しながらでも同様の効果が得られます。通常の動作とは逆の挙動になると覚えてください。
スムース
shiftキーを押している間はポインタの円が青くなり、スムースモードになります。これはオブジェクトの表面をならすブラシで、画像のようにでこぼこの面をならしてきれいにしてくれます。
触った部分が元の状態にくらべてきれいになりました。
左右対称モード
キーボードのXキーを押すたびに対称モードのON、OFFが切り替わります。
対称モードがONの時はオブジェクトにカーソルを当てた時、対象となる部分にも赤い点が表示されます。
ペンタブレットによる操作
マウスでは不可能ですが、ペンタブレットの筆圧検知によって強度の変更が筆圧で可能です。用意できるのであればペンタブレットを用意したほうが快適に操作できるでしょう。
ここまでの操作は全て同じブラシを使用していますが、これにブラシの選択が加わることでさらに多くのスカルプト表現ができます。いろいろ試して感覚を覚えましょう。
マスク操作
マスクとは、オブジェクトの一部をブラシなどによる操作から守る機能です。マスクの部分は動かすことができなくなり、それまで作った形状を維持できます。
こちらもスカルプトするうえでは大変便利な機能ですので理解しておきましょう。応用しだいで可能性は無限大です。
ctrlを押し続けるとポインタが黄色くなりました。この状態がマスクモードです。この状態でオブジェクトを触ると
触った部分が黒くなりました。これがマスクです。
今度はブラシでおじさんの胸のあたりを盛り上げます。
最初と比べると大胸筋が倍くらいの大きさになりましたが、マスクをした部分だけは元のままです。これがマスクの効果です。
ではマスクに関する操作を紹介します。
マスクの境界をぼかす、くっきりさせる
マスクをかけただけの状態です。この状態からマスクモードでオブジェクトを軽くタッチします。場所はどこでも構わないので、引っ張らないように触ります。
3回ほど触り、画像のようにマスクが薄くなりました。この状態で盛り上げると
先ほどはマスクの部分が完全に動かなくなっていたのに対して、こちらはなだらかな曲線になっているのがわかります。マスクをくっきりさせたい場合は、マスクモードでさらにaltキーを押すことでブラシ操作同様に挙動が逆になり、くっきりさせることができます。
範囲をマスクする
ここまでは通常のブラシ同様オブジェクトに触ることでマスクを部分的にかけましたが、一度にたくさんマスクする場合はこのやり方では手間です。いっぺんにマスクをかける場合、マスクモードでオブジェクトには触らずに、何もない部分を触りペンを移動させます。
するとこのように四角い枠が出てきて、枠の中が一気にマスクされます。
このようにマスクがかかります。注意点として、オブジェクトに触ってマスクする場合とは違い、裏面までマスクされますので注意が必要です。
マスクを反転する
今度はマスクのかかっている部分とかかっていない部分を逆にしましょう。オブジェクトのない部分をマスクモードで1回だけタッチします。
反転しました。
マスクを消す
マスクの消し方はふた通りあり、ひとつめはマスクモードでaltを押した状態で触る、ふたつめは何もない部分をマスクモードで触って先ほどの四角い範囲を出し、オブジェクトに触らない状態で離します。
ひとつめのやり方では触った部分が消え、ふたつめのやり方では全てのマスクが消えます。
実際にスカルプトしてみよう
最後にここまでの操作を使ってこちらのおじさんをもっとマッチョにしていきましょう!
胸筋と腹筋をスカルプトしていきます。
左右対称モード(Xキーで切り替え)で作業しましょう。大きくしたい部分をマスクします。
反転してマスクをぼかし、マスクの境界が段差にならないようにします。ブラシのinflateを選択し、ブラシのサイズを胸筋より少し大きめにしましょう。このブラシは触ったところが膨らむようにスカルプトできます。
Zbrrush Coreはソフトの特徴として直感的な操作での造形ができることが最大の強味ですが、反対にCADソフトなどのようにここをこう操作したら必ずこうなるといったことができません。
そのため、一度操作したら視点を変えて結果を確認し、だめなら納得するまでやり直すしかありません。操作の癖などはトライアンドエラーを繰り返し、体で覚えましょう。
問題がなければマスクを消して胸筋は終わりです。理想の胸筋を追い求めてください。
次はお腹周りをシェイプアップしていきます。まずはもっとお腹を細くします。
今度は範囲マスクで胴体部分を背中側までいっぺんにマスクし、先ほどと同じように反転、ぼかします。ブラシはmoveにします。このブラシは触った部分をつまむように動かせます。
納得いく形になったらOKです。かなり見違えました!
最後に腹筋をシックスパックにしましょう。ブラシをdamstandardにします。このブラシは鋭利な溝を掘ります。
腹筋の側面のカットを入れました。さらに、大胸筋の下側にも入れて大胸筋との境界をはっきりさせました。
同じように縦のラインと横のラインも入れます。
あっという間に腹筋が割れました。最初の体形と比べると同一人物とは思えません。このように今回の基本的な操作だけでも、組み合わせでいろいろな造形ができます。とにかく触ってみて、体で覚えるのが上達の秘訣です。
おわりに
前回記事に引き続き基本的な操作の紹介でしたが、Zbrrush Coreは基本操作がすべてだと考えています。基本操作を体で覚えれば、自分がつくりたい形への操作が自然とできるようになります。
ひとつの手順を覚えたとしても、操作の組み合わせ次第でより早く簡単に目的のものを作り出せるかもしれません。その試行錯誤と発見がこのソフトの面白い部分です。ぜひいろいろ試して楽しみながらスカルプトしてみてくださいね。
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