AR

ARを知る上で欠かせない「セカイカメラ」について

セカイカメラとは?

セカイカメラというサービスをご存知でしょうか?
2009年に一般公開されたスマホアプリです。開発元は頓智ドットで、創業者は「Telepathy」などのサービスを手掛けた井口尊仁氏。
当時はTechCrunch50でも紹介され、多くのメディアに取り上げられました。しかし、ユーザー離れなどにより2014年には全てのサービスを停止。近年、「ポケモンGO」などのムーブメントにより、ARアプリの先駆者として比較されるようになりました、

サービス概要

セカイカメラは、現実の背景に新しい情報を重ねるというコンセプトで作られています。ユーザーの現在の位置情報を元に、ディスプレイ越しにユーザーが付けた“コメント”“タグ”がついてきます。

▼目の前の建物に説明文が入ります

画像出典元:http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Interview/20091008/338628/Ph2.jpg

画像出典元:http://farm6.static.flickr.com/5146/5728940559_1dd280cd4e.jpg

配信開始後は、多くの人に使われ、長らくダウンロードランキングで1位を獲得しました。サービス停止までの合計で、約300万ダウンロードを記録しています。

 

使われ方

主に、店舗の説明や広告で使われていますが、他にも様々な使い方がされているそうです。

■自分のお子さんの成長記録に

セカイカメラが公開されたその日に,あるユーザーのお子さんが生まれた。そのユーザーは,かわいい娘がここで生まれたというエアタグをセカイカメラで残した。今後は成長の記録をセカイカメラで残していくという。昔だったら,子供が生まれたら写真のアルバムやビデオテープで記録していた。そうした記憶を,クラウド上に残すという人々の考え方や行動に大きな変化が起きている。

■街中の生活を眺める

セカイカメラをカー・ナビゲーションのように車内で利用している様子の動画をYouTubeにアップしているユーザーもいる。徒歩の移動速度を想定して開発したが,車での移動時でもエアタグが追従している様子が見える。人々が記録したエアタグが画面に流れる様子を見ていると,街中の人々の生活感や息づかいが画面上に具現化しているように見えて面白い。

通常のカー・ナビは,いわゆる地図情報のみだが,セカイカメラはその場所で起きた歴史的な出来事や,その場で友達や家族が感じたことなど人間の興味の観点が見える。従来のナビゲーションとはまったく違う形になり得る。

■Wikipediaのように、ニッチな情報をためていく

例えば,あるコミュニティの中では,週末にあるテーマパークの中でセカイカメラのエアタグを自主的に張ろうという動きがあるという。アトラクションの混み具合,トイレの場所,オムツが替えられる場所など,ユーザー自身が創意工夫し,ウィキ的な要素を持つエアタグを加えていくという。今後も,ユーザーの手によって,ボトムアップ的に現実空間の中に情報を構築されていくだろう。

 

 

利用シーン動画

動画を見ると「セカイカメラ」の世界観がよく分かります。これが2009年のアプリだなんて驚きですね。ちなみに2009年は、iPhone3Gが日本で発売された時でもあります。

デモ動画

利用している場面

NHKでも紹介されています(井口CEOのコメントあり)

CEOの井口さんは、「外国人が富士山を見た時に、富士山と分からないので、コメントが付くことで分かるようなサービスがあればいいと思った」

 

サービス停止まで

井口氏は2012年に頓智ドットを退社、2014年に全てのサービスを停止しました。

 

サービス停止の背景

まず、ダメだった点から3点お話しします。1つ目は、使うにあたりスマホをかざさなくてはいけなかったこと。セカイカメラが登場する前から研究されていたARを、スマホというデバイスを使って身近なものにしたことは大きい。けれど、かざすのは実際恥ずかしいですよね。周辺の情報はスマホの画面を見てリストや地図で見るのでも十分なわけですし」

たしかに、繁華街でスマホをかざすと不審な目で見られる。さらに、「2つ目は、情報の整理ができていなかったこと。街中を歩いていると多くの情報が目に飛び込んできます。混沌としている現実に、混沌としているウェブ上の情報を載せると、混沌が合わさって、何を見たらいいのかわからない、有用な情報の取捨選択を困難にしてしまった。3つ目は、毎日使う必要性がないこと。いつもの通勤経路で、馴染みの繁華街で、前に見たときと違う情報があれば人は使うけど、それがわからなければ使ってくれない」と、セカイカメラへの反省は尽きない。

現在は、「tab」というサービスにて新しく作られているそうです。

谷口氏が同社CEOに就任したのは、’11年末。セカイカメラリリース時には、楽天に在籍していた。セカイカメラのリリース当時を振り返り、「三木谷さんと、eコマースだけでなくリアルな売買をサポートできないと、5年後ヤバいという話をしていました。セカイカメラとは少し違うイメージでしたが、先にやられた!という思いはありました」と語った。就任後、着手したのはセカイカメラ終了後も存続する同社のサービス「tab」だった。tabは、PCやスマホ、タブレット上で自身が気になる場所やイベントなどをクリップできるサービス。クリップした情報はテーマごとにtab帳としてユーザー間で共有される。

「セカイカメラという名前はなくなりましたが、現実世界をリッチにしていくという思想はtabに引き継がれています。tabの開発名は『新セカイカメラ』ですし、『セカイカメラ2.0』と名付けてもよかった。けれど、ダメだった点を改良するだけでなく、足りなかったことを加え、新しいサービスとして登場させました」

足りなかった点は、マネタイズ、インタレスト(興味)、アクション(行動)だという。tabはセカイカメラと何が同じで、何が違うのだろうか?

引用元:運営会社CEOが語る「セカイカメラ」の終わりと未来

 

また、かなり辛口ではありますが、UEI代表の清水亮さんの記事なども参考になります。

シリアルアントレプレナー、井口尊仁はなぜ三度失敗したのか

 

■参考サイト

拡張現実ARの実用化を目指したのではない,“セカイカメラ”が作りたかった

セカイカメラ終了のお知らせ……開発元・頓智ドット「目指した思想は諦めていない」


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