「リグ」とは、3Dキャラクターに動きを付ける際の仕組みやコントローラーのことを指します。CGを取り扱う方であれば、一度は聞いたことがあるかもしれません。映画のエンドロールなどでも「Rigging」と記載された項目が存在します。今回はアニメーションに必要なリグについてご紹介していきます。
リグの役割
リグは3Dモデルに設定したスケルトン、IK、FK、デフォーメーションなどの仕組みの総称です。 これだけ聞いてもイメージするのが難しいので、詳しく解説していきます。
3Dデータを作る際には、モデリングをおこないます。これは3Dデータの形状を作る作業です。しかし、この状態では外側を作っているだけの状態なので、これにスケルトンを設定していきます。
スケルトンは骨やボーンとも呼ばれ、その名の通り人間の身体でいう骨のようなものです。また、この骨を動かした際にどこの肉(メッシュ)が一緒に動くか設定をしていきます。これをウェイト設定と呼び、ここまでの作業を総称してスキニングと呼びます。
スキニングまでおこなえば、3Dモデル自体を動かすことは可能です。ただ、スケルトンやメッシュ自体を逐一移動させアニメーションを作る必要があるため、非常に手間が掛かります。
そのため、よりアニメーションを簡易化するために追加のリグの設定(リギング)をしていきます。リギングによりアニメーターがキャラクターを直感的に分かりやすく、動かせるようになります。
IK・FK、デフォーメーション設定について
IK(Inverse Kinematics)、FK(Forward Kinematics)設定はスケルトン同士の関係を制御する設定です。
例として、人の腕の3Dデータを元に考えてみます。IK設定では先に末端のスケルトンの位置を決めると他のスケルトンの角度が自動で決定します。りんごを掴むアニメーションを作成するために、手首のスケルトンの位置を動かすと肘や肩のスケルトンのジョイントは自動で計算されます。
一方、FK設定では個別で各スケルトンの角度を調整します。手首、肘、肩のスケルトンのジョイントを個別に設定する必要があります。
また、デフォーメーション設定とはモデルの形状を、別のモデルやオブジェクトに沿わせて変形させる設定です。ベンド、ツイスト、ラティスなど、様々な変形方法があります。
以下のgifはラティス デフォーマの例です。人の耳のモデルを格子モデルに沿い、変形させています。
上記のようなアニメーションを簡易化するためにおこなうコントローラーを総称してリグと呼びます。
既存のリギングフレームワークを活用しよう
大まかにリグとは何かを解説しましたが、1からすべて自分で設定する必要はありません。オープンソースとして、既に完成された人型のリグなどが多く公開されていますので、これらを活用して簡単にリギングをしましょう。
例えば、MayaではMiquel Campos(ミケル・カンポス)氏が公開している「mGear」というフレームワークが有名です。その他にもMayaやMotionBuilderでの「HumanIK」や3dsMaxの「Biped」「CAT」など多くの種類があるので、自分が作業するソフトウェアに応じてリグ設定を簡単におこないましょう。
リグを使用する時の注意点
また、リグを設定する際に気をつけなければならない点がいくつかあります。
コントローラーをわかりやすい色や形状で作成する
リグは基本的に全てコントローラーで制御できるよう組んでいきますが、コントローラーの色や形状も同時に設定できます。例えば全てコントローラーを同じ色や形状で作成すると非常にわかりづらいリグになるため、四角や三角、丸などのように形状を変えたりコントローラー毎に色を変えて設定しましょう。
複雑にしすぎない
様々なことができるようになると、高性能のリグを多く利用したくなりますが、わかりにくなったり、コントローラー多くて重たくなりすぎたりという問題が発生します。アニメーターの目線になって極力シンプルで扱いやすいリグを心がけ、コントローラーを増やしすぎないことも大切です。
破綻が起こらないよう確認する
アニメーションの簡易化に必要なリグですが、複雑に設定をするとアニメーションさせた際にメッシュの破綻などが起こってしまいます。そのため、いくつかのパターンのポーズを取って確認し、破綻がでないよう設定をする必要があります。
3Dデータ作成ならモデリー
「モデリー」ではウクライナのデザイナーと提携し、幅広い3Dデータ作成を承っております。リグの設定や3Dアニメーションの作成も承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
3Dモデル制作サービス『モデリー』では、納得の価格、安定の品質であらゆる3Dデータを提供します。まずはお気軽にご相談ください。
3Dプリントが3日で届くサービス『3Dayプリンター』も展開しています。3Dモデリングから3Dプリント・塗装など後加工までサポートします。