ベルギーのデザイナー Joachim Froment は、廃棄プラスチックを原料とした3Dプリント製家具の販売を始めました。2019年末から受注を開始し、ベルギー・オランダ・ルクセンブルクを皮切りに、ヨーロッパ内への出荷をおこなう予定です。プラスチックごみを有効に活用するため、製造にはColossus(コロッサス)社の移動式大型3Dプリンターが用いられています。
3Dプリントの最適化で、2時間以内の製造を実現
Joachim が手掛けた「Strats」は、椅子・ラウンジチェア・スツール・ローテーブル・ダイニングテーブルの5種からなる家具シリーズ。価格は200ユーロから2800ユーロで、黒以外のカラーにも対応しています。
写真をよく見ると、地層のような3Dプリントの痕が見えますね。一般的に、3Dプリントするものの強度を上げると時間がかかる傾向にあります。一方、「Strats」の椅子は、流線型のシルエットや一筆書きのプリント方式(Vase-Mode)で、強さを保ちながら1個あたり2時間以下の早さで印刷されています。
素材の循環を実現する、可動&ペレット式3Dプリンタ
「Strats」が目指すのは、地元で回収したプラスチックから家具を作り出すローカルな素材の循環。このビジョンを実現するため、同じくベルギーを拠点とする3Dプリンタ/素材メーカーのColossus社とタッグを組みました。
Colossus社の大型3Dプリンタは移動を前提に作られており、コンテナに収納されています。プロモーション映像では、トラックに載せたコンテナを下ろし、広場のような場所で3Dプリントしている様子が映し出されています。
また、フィラメント状のプラスチックを押し出すFFF方式(Fused Filament Fabrication)ではなく、ペレットと呼ばれる粒状の素材を用いたFGF方式(Fused Granular Fabrication)を採用し、リサイクル材も含めさまざまな特性を持つ樹脂材料が利用可能になりました。
3Dプリント用のフィラメントは手軽に扱える反面、紐状に加工する手間がかかり、途中で印刷が途切れてしまうリスクも抱えていました。ペレット式であればわざわざフィラメントを作る必要がなく、素材も印刷途中で追加できるため、大型の造形物を作る際には適切な方式と言えるでしょう。
3Dプリンタとデザインが生む新たな循環型社会
プラスチックが廃棄される場所に3Dプリンタを持ち込み、その場で家具を3Dプリントして新たな価値を吹き込んでいく。プラスチックの循環を促す「Strats」の仕組みは、使い捨てで終わる大量消費社会からの脱却を目指しています。
参照
Joachim Froment
Colossus
designboom
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