Fusion 360のスカルプトモデリング基本についてまとめました。スカルプトモデリングの経験がない方にも分かりやすいように基本コマンドから解説します。今回は、練習として牛乳ビンをモデリングするので挑戦してみてください。
使用するコマンド一覧
作成 | 円柱 | 寸法や面の数を指定して円柱を作成 |
修正 | フォームを編集 | マニピュレータを操作し、エッジや面を移動 |
エッジを挿入 | 指定したエッジに平行なエッジを追加 | |
押し出し | 面やエッジを押し出して、エッジや面を追加 | |
穴の塗り潰し | 指定した穴の塗り潰し | |
折り目 | 指定したエッジに折り目を適用 | |
厚み | 面に厚みをつけ立体化 | |
外観 | ボディや面を彩色 |
はじめに
今回はスカルプトモデリングの基本練習として牛乳ビンをモデリングします。曲面が連続的に変化するので、ソリッドモデリングを用いると困難ですが、スカルプトモデリングを用いれば比較的短時間で曲面を作成可能です。
それでは、実際にスカルプトモデリングで牛乳ビンを作成しましょう。
円柱で大まかな形状を作成しよう
はじめに、スカルプトをするための作業スペースに移動します。「作成」→「フォームを作成」を選択で作業スペースを移動します。または、ツールバーから紫色のマークの「フォームを作成」を直接選択しても移動可能です。
作業スペースを移動したら、「作成」→「円柱」を選択し、基本形状となる円柱を作成します。円柱を選択したら、円柱を作成する平面を選択。今回は、青色の軸(z軸)と赤色の軸(x軸)を含む平面を選択します。
円柱の寸法は下に示したように、「直径」を「57 mm」、「高さ」を「140 mm」としました。また、「直径の面」、「高さの面」ではそれぞれの方向の面の数を指定可能です。今回はどちらの面の数も「8」とします。
面の数を多くし、小さく分割すればその分細かく形状をコントロールできますが、その分操作が複雑になり、形状のコントロールが難しくなります。適切な分割数を選択し、効率よくモデリングできるようになりましょう。
その他の詳細設定はデフォルトのままで大丈夫です。以上の操作が完了したらOKをクリックし「円柱」の設定を終了します。一度OKをクリックすると、後から設定を変更できないので注意しましょう。
底面を細かく調整しよう
基本形状となる円柱を作成したので、続いて底面部分を作成します。まず、「エッジを挿入」を用いてエッジを追加します。「修正」→「エッジを挿入」を選択してエッジを追加できますが、「エッジを挿入」のような基本的なコマンドは、エッジを選択した後、右クリックからでも選択可能です。
「エッジを挿入」を選択したら、一番下のエッジを選択します。エッジをダブルクリックすれば、ループ状にすべてのエッジを選択可能です。
「エッジを挿入」では選択したエッジに平行なエッジを追加できます。挿入位置は指定したエッジの位置を「0」、隣のエッジを「1」として「0〜1」の範囲で位置を指定します。今回は、「0.23」程度にします。
スカルプトモデリングでは寸法に合わせた形状の作成も可能ですが、感覚的な操作が多いです。全体的なバランスを確認しながら、感覚的に形状を作成する操作に慣れましょう。
次に、「修正」→「フォームを編集」を選択。一番下のエッジをダブルクリックでループ状に選択します。下に示したマニピュレータのコーナーを選択し、カーソルを移動させるとスケールを変更可能です。今回は、スケールを「0.93」程度にし、下側を少し絞りました。
「フォームを編集」は「修正」からも選択可能ですが、右クリックからでも「フォームを編集」を選択できます。「フォームを編集」はスカルプトモデリングでは非常に使用頻度の多いコマンドなので素早く選択できる右クリックから使用することが多いです。
続いて、「押し出し」を使って底面を閉じましょう。「altキー」を押しながら、マニピュレータを操作すれば選択したエッジを押し出せます。「押し出し」を使えば、押し出した方向に新しくエッジや面が追加されます。スカルプトモデリングでの「押し出し」は必要不可欠な操作なので覚えておきましょう。
今回は、一番下のエッジを押し出します。まず、「フォームを編集」の状態で一番下のエッジをループ状に選択。次に、「altキー」を押しながらマニピュレータのコーナーを選択し、内側にカーソルを移動すれば、選択したエッジを中心方向に押し出せます。1、2回押し出しを繰り返して、下に示したくらいまで底面を絞りましょう。
次に、「穴の塗り潰し」を使って底面部分の穴を埋めます。底面をエッジをループ状に選択した状態で「修正」→「穴を塗り潰し」を選択。「穴の塗り潰しモード」を「折りたたむ」にしてOKをクリックすれば穴を閉じられます。
最後に、底面部分を押し上げて、形状を調整しましょう。「修正」→「フォームを編集」を選択。下に示したような底面の内側の面を選択し、マニピュレータの上矢印を上方向に移動させれば面を持ち上げられます。
同様にして、中心部分の面も少し上側に持ち上げましょう。
上部を作成しよう
続いて、牛乳ビンの上部を作成します。まず、上から二番目のエッジをダブルクリックし、ループ状に選択します。「フォームを編集」からマニピュレータのコーナーを選択し、下に示したように縮小します。下の写真や完成イメージをもとにエッジを調整しましょう。
さらに、エッジを追加しましょう。スカルプトモデリングでは「大まかな形状を作成」→「エッジを追加し細かく形状を作成」のような流れが基本となります。
まず、上から2番目のエッジをループ状に選択し、「エッジを挿入」を選択。選択したエッジの少し上側にエッジを追加します。
ソリッドモデリングでは「フィレット」などを用いて、エッジの丸みを調整しますが、スカルプトモデリングではエッジの間隔でエッジの丸みを調整します。慣れるまでは難しいですが、スカルプトモデリング特有の操作なので身につけるようにしましょう。
最後に、上部のエッジを調整します。一番上のエッジをダブルクリックしループ状にエッジを選択。「フォームを編集」選択し、マニピュレータを操作して下の写真のようにエッジを調整しましょう。
さらに、エッジを上に押し出します。エッジを選択した状態で「altキー」を押しながら、上矢印を移動すれば、上側に押し出し可能です。
押し出しが完了したら、上から2番目のエッジを選択し、「修正」→「折り目」を適用しましょう。OKをクリックして「折り目」を終了します。
スカルプトモデリングでは、ほとんどの場合すべての面を滑らかにつなぎますが、「折り目」を用いれば、面と面に山折り、または谷折りを適用可能です。「折り目」の有無で全体の印象も大きく変わるので有効に利用しましょう。
全体に厚みをつけて立体化しよう
基本形状は完成しましたが、このままでは面だけのペラペラな状態なので、「厚み」を用いて面を立体化します。
「修正」→「厚み」を選択。今回は、「厚さ」を「-2.5 mm」として内側方向に立体を作成します。「厚さのタイプ」や「方向」はそのままの設定で大丈夫です。以上の操作が完了したらOKをクリックし「厚み」を終了します。
これで、牛乳ビンの作成が完了しました。すべて完了したら、ツールバー右上の「フォームを終了」をクリックし元の作業スペースに戻ります。
マテリアルを設定してレンダリングしよう
モデリングが終了したので、レンダリングをして見栄えをよくしましょう。まず、「外観」でマテリアルを適用します。今回はマテリアルに、「ガラス」→「滑らか」→「ガラス-窓」を選択しました。マテリアルをボディにドラッグアンドドロップでマテリアルを適用可能です。
最後に、作業スペースを「レンダリング」に移動し、レンダリングをおこなえば下の写真のように仕上げられます。
おわりに
最後までご覧いただきありがとうございます。スカルプトモデリングはソリッドモデリングとは異なり、感覚的な操作が多いのですぐに慣れるのは難しいですが、色々なモデリングに挑戦して上達していきましょう。
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