3DCG広告は実物を用意せずに商品やサービスの魅力を立体的な映像として訴求できる手法です。
製造前の段階でもリアルな質感や動きを表現できるため、工業製品や建築物など幅広い領域で採用が進んでいます。
静止画だけでなく動画やモーショングラフィックスにも展開しやすく、SNS広告との親和性も高いなど様々なメリットがあります。
撮影が難しいシーンや複雑な構造も視覚をもって説明できる点は他の広告表現にはない強みです。
さらに、制作した3Dデータは再利用がしやすく複数媒体へ展開しやすいことからマーケティング効率の最適化にも役立ちます。
本記事では、3DCG広告の概要や種類、得られる効果、依頼から納品までの流れ、実際の制作事例まで体系的に整理して解説しています。
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3DCGを活用した広告とは?
3DCGを用いた広告は、商品やサービスをコンピューター上で立体的に再現し、そのまま映像やビジュアルとして活用する手法です。
現物が手元になくてもリアルな質感や動きを描けるため、製造前の製品紹介や建築・不動産などでも早い段階から宣伝展開が可能になります。
また、撮影が難しいアングルや想定が難しいシーンでも自由に演出できるメリットがあります。
さらに、アニメーション化して構造や仕組みを視覚的に示せるため、文章では伝わりにくいメリットも伝達しやすくなります。
近年はSNS広告やWeb動画との相性も良く、静止画だけでなく短尺のモーショングラフィックスとしての需要も増えています。
制作資産は使い回しが利くため、複数媒体への展開や更新にも向いています。SEOや広告運用の観点でも、視覚的な理解を促せるコンテンツは滞在時間やクリック率の改善に貢献しやすく、マーケティング全体の効果を底上げする手段としても有効です。
3DCG広告の種類
3DCGを使った広告手法はテレビCMやWeb動画だけではなく、屋外ビジョン広告やAR広告、VR広告など多方面へ広がっています。
VR技術を使った広告
AR技術を使った広告
屋外ビジョン広告
ここでは、3DCG広告の種類を紹介します。
VR技術を使った広告

VR(仮想現実)は専用ゴーグルを装着して仮想空間を体験する仕組みで、360度映像と3DCGを組み合わせることで没入感の高い世界を演出できます。
自動車メーカーではVRで試乗体験を提供しており、観光業界でも現地の雰囲気を体感させる施策として採用が進んでいます。
VR技術を使った広告では、従来の平面的な広告とは異なる訴求ができる点が強みとして挙げられます。
AR技術を使った広告

AR(拡張現実)は、現実世界に3DCGの映像を重ね合わせる仕組みです。
代表例として「Pokémon GO」が有名で、現実空間にキャラクターがいるかのように感じさせる演出が特徴です。
飲食業界や小売業界では、ポスターにスマホをかざすと特典クーポンが現れるといった広告も展開されています。

過去にはドミノピザが、ARで宇宙空間に地球を表示し、世界のチーズ文化を紹介する企画が実施されました。
屋外ビジョン広告

屋外ビジョン広告は、街中の大型ビジョンに3DCG映像を映し出す広告手法です。
ビルの壁面や湾曲ディスプレイを活用し、立体的に飛び出して見える映像を流すことで歩行者の注目を集めます。
中国や韓国では巨大スクリーンでの3DCG広告がすでに盛んで、動きのある立体映像が大きな話題を呼んでいます。
3DCG広告がもたらす5つの効果
3DCGを取り入れた広告は、従来の写真や映像では実現できなかった新しい価値を生み出します。
・細部まで正確に表現できる
・ユーザーの注目を集めやすい
・疑似体験を提供できる
・魅力を最大限に伝えられる
・コスト削減と効率化につながる
ここでは、実際の活用事例を交えながら5つの代表的な効果をご紹介します。
効果①細部まで正確に表現できる
3DCGはモデリングと質感設定によって、製品の細部までリアルに再現できます。
例えば、精密機器メーカーが基板内部を分解する映像を制作したケースでは、写真では伝わりにくい部品構造をわかりやすく可視化でき、技術力の高さをアピールすることに成功しました。
効果②ユーザーの注目を集めやすい
3DCG広告は、緻密で迫力のある映像は視覚的インパクトが強く、多くの広告の中でも目を引きます。
実際に、自動車メーカーがSNS上で「車体が未来的に変形する3DCG広告」を配信したところ、ユニークな表現が話題を呼び、拡散による高い宣伝効果を得ることに成功しています。
効果③疑似体験を提供できる
3DCGをARやVRと組み合わせれば、ユーザーは商品を実際に体験しているかのような感覚を味わえます。
家具ブランドが導入したARアプリでは、購入前に自宅に家具を配置してシミュレーションできるため、購入後のミスマッチを防ぎ、返品率の低下にもつながりました。
効果④魅力を最大限に伝えられる
3DCG広告は、カメラアングルや照明、色彩、さらにはエフェクトまで自由に設定できるため、商品の持つ魅力を引き立てやすいのも特徴です。
化粧品メーカーが高級ラインの広告に3DCGを用いた際には、商品が光を受けて美しく輝く演出を行い、ブランドの高級感を強調することで売上向上に貢献しました。
効果⑤コスト削減と効率化につながる
実写撮影ではスタジオやスタッフ、機材の手配が必要ですが、3DCGであればデータ上で完結します。
あるアパレルブランドでは、シーズンごとの撮影をCGモデルで置き換え、カラーや背景をデータ編集で調整することで、撮影コストを約30%削減できました。
3DCG広告制作の流れ(モデリーで依頼する場合)
ここまで、3DCG広告の種類や効果を解説しましたが、当社モデリーでは3DCG広告のご依頼を募集しています。
ステップ①打ち合わせ
ステップ②企画書・絵コンテの作成
ステップ③制作工程
ステップ④試写(チェック)
ステップ⑤納品
そこでここでは、モデリーへ3DCG広告制作を依頼する際の流れを紹介します。
ステップ①打ち合わせ


まず、モデリーのサイトを開き、右上にある「ご相談・お見積」をクリックしてください。
お問い合わせ後、使用するCADデータの有無や希望納期、予算などを確認したうえで正式発注となります。
内容によっては1回で完了する場合もありますが、複数回の打ち合わせが必要になることもあります。
具体的にお問い合わせページで入力していただく項目は、以下になります。
・氏名
・会社名・団体名
・メールアドレス
・電話番号
・添付ファイル(40MBまで)
・お問い合わせ内容
・希望制作スケジュール
・ご予算上限
・個人情報について
回数が増えるとその分納期や費用に影響する可能性があるため、あらかじめ社内で方向性を整理し、必要な資料やデータを準備しておくことが大切です。
ステップ②企画書・絵コンテの作成
打ち合わせで方向性が定まったら、企画書をまとめて全体像を明確にします。
さらに、映像の流れを分かりやすくするために絵コンテを用意することもあります。
カメラアングルやカット割りは完成度に大きく影響するため、事前にビジュアル化して関係者と共有しておくと安心です。
ステップ③制作工程
企画書や絵コンテをもとに実際の3DCG制作に入ります。主な流れは以下のとおりです。
モデリング:対象の形状を作成
マテリアル・テクスチャ:質感や色味を設定
リギング:骨組みを構築
スキニング:動きをモデルに反映
レンダリング:映像として出力
もし社内にCADデータがある場合は、一からモデリングを行うのではなく、既存データを調整して活用するケースもあります。
ステップ④試写(チェック)
完成したデータは制作会社と一緒に試写を行い、仕上がりを確認します。
修正依頼はできる限り制作過程で伝えるようにしましょう。
完成後に大幅な修正を依頼すると、納期の遅延や追加費用につながることがあります。
修正対応の範囲は会社ごとに異なるため、契約前の打ち合わせで確認しておくと安心です。
ステップ⑤納品
最終確認で問題がなければ、広告を配信する媒体に適した形式でデータが納品されます。
内容や尺にもよりますが、初回の打ち合わせから納品までにはおおよそ1~2か月程度を想定しておくと良いでしょう。
3DCG広告・映像の制作事例3選
ここでは、3DCG広告・映像の制作事例を紹介します。
事例①家電の広告用ビジュアル制作(アイリスオーヤマ様)
事例②ナイフブロック製品映像制作(ツヴィリング J.A. ヘンケルス ジャパン株式会社様)
事例③パン焼きオーブンの製品紹介映像
それでは、1つずつ詳しく解説します。
事例①家電の広告用ビジュアル制作(アイリスオーヤマ様)
当社モデリーでは、アイリスオーヤマ様のECサイトおよび広告用途にて使用される製品ビジュアルを3DCGで制作いたしました。
対象となった家電はサーキュレーター扇風機とリンサークリーナーの2製品で、訴求したい利点が視覚的に直感で伝わるように構図やライティングを調整しながら仕上げております。
本案件は、動画・静止画・GIFなど複数形式で納品し、現在は実際のECページで活用されています。
家電は機能訴求が成果を左右する領域のため「どの機能を備えているか」がひと目で理解できるビジュアル設計を意識して制作いたしました。
ECに訪問したユーザーが数秒で価値を理解できるかを軸に複数案を比較検討し、伝達力を高めています。

また実写では難しい断面表示など3DCGならではの表現も盛り込み、情報量と視認性の両立を図っています。
さらに品番ごとに異なるノズル形状など細部の差異もモデリングで再現し、複数パターンを展開しています。
ベースとなる3Dデータは共通化しつつ差分のみを制作する構成とすることで、複数商品を合理的なコストで制作できる体制を整えております。
事例②ナイフブロック製品映像制作(ツヴィリング J.A. ヘンケルス ジャパン株式会社様)
※動画は4秒くらいから始まります。
当社モデリーでは、ツヴィリング J.A. ヘンケルス ジャパン株式会社様の製品「ナイフブロック」を紹介する3DCG映像を制作いたしました。
ナイフブロックは、包丁を出し入れするたびに自動で刃を研ぐ機能を備えた革新的なプロダクトで、そのスマートな機能性とデザイン性を両立して表現することを目指しました。
映像では、スタイリッシュな質感や金属の光沢、製品の上質さを際立たせるために、照明・マテリアル表現・カメラワークを細部まで調整。同時に、実際には外から見えないV字型の砥石機構を3DCG上で再現し、包丁がどのように研がれるのかを視覚的にわかりやすく解説しました。
本映像は、単なる製品紹介ではなく、ツヴィリングブランドが持つ“道具としての信頼性”と“美しさへのこだわり”を映像で体現することを意識しています。
リアルな質感描写とモーション表現により、視聴者が製品の構造と魅力を同時に理解できるように設計しました。
高品質なプロダクトをさらに引き立てる3DCG表現として、商品プロモーションや販売促進など多様な用途でご活用いただいております。
事例③パン焼きオーブンの製品紹介映像
※動画は2秒くらいから始まります。
当社モデリーでは、パン焼きオーブンの製品紹介映像を3DCGで制作いたしました。
本映像では、製品のスタイリッシュなデザイン性を保ちながら、最大18段のトレーを同時に焼き上げられる高い収納力と効率性をわかりやすく伝えることを目的としています。
3DCGならではのカメラワークとライティングを駆使し、金属の質感や温かな焼き上がりの雰囲気を表現。動きやカット割りにリズムをつけ、製品のスケール感や性能を直感的に理解できる構成としました。
また、BGMには親しみやすい軽やかな音楽を採用し、業務用製品でありながら、見る人に親しみと安心感を与える印象づくりを意識しています。
高機能とデザイン性の両立を、映像美と3D表現で表したプロモーションコンテンツとしてご活用いただいております。
まとめ
3DCGを用いた広告は「精密な表現」「視覚的な訴求力」「疑似体験の提供」「ブランド演出」「コスト最適化」の五つの価値を生み出せます。
テレビCMやWeb動画に限らず、AR・VR・屋外ビジョンなど表現の選択肢も広がっており、商品理解促進と話題化の両面で有効な手段として定着しています。
制作資産を横展開しやすい点は運用コストの抑制にも貢献し、広告の成果改善を狙う企業にとって実用性の高い選択肢と言えます。
また、前述で紹介したように3DCG広告や映像の制作を外部へ依頼したい場合は株式会社メルタが運営するモデリーへお問い合わせください。
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