3Dプリンターを使ってモノを作るには、まず「3Dデータ」が必要です。
しかし、「どこで手に入れるの?」「自分で作れるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、3Dプリンターに必要な3Dデータの基礎知識から、無料で使えるデータ配布サイト、作成方法、業界ごとの活用事例までを徹底解説します。
・3Dプリンター用の概要
・3Dプリンター用データの作り方
・無料で3Dデータを入手できるおすすめサイト8選
・3Dデータの活用事例
初心者の方でも、この記事を読めば目的に合った3Dデータの入手・活用方法が分かり、すぐにプリントに取りかかれるようになります。
3Dプリンター用のデータとは?

3Dデータとは、パソコン上で立体的な形状や構造を表現するためのファイルのことです。
3Dプリンターは、この立体データをもとにして、実際の物体を造形する装置です。
そのため、3Dプリンターを使用するには、あらかじめ造形用のデータを準備しておく必要があります。
言い換えれば、3Dデータはプリンターにとっての「設計図」のような役割を果たします。
保存形式にも種類があり、「.stl」や「.obj」などが代表的なファイル形式として広く使われています。
これらは、3Dモデルの形状情報を保持するための標準的なフォーマットです。
また、3Dデータは専用の編集ソフトを使えば自由にカスタマイズ可能です。
たとえば、「Autodesk Fusion 360」などのソフトウェアでは、STLファイルを読み込んで形状の修正やサイズの変更などが簡単に行えます。
このように、3Dプリンターを活用する上で3Dデータは欠かせない存在であり、希望の形状を反映させるためには編集ソフトによる調整が重要になります。
3Dプリンター用データの作り方
3Dプリンターを使ってものづくりをするには、まず「造形用の3Dデータ」を準備する必要があります。
①現場施工型:大型3Dプリンターで直接建築するタイプ
②工場生産型:パーツを3Dプリントして現場で組み立てるタイプ
③型枠活用型:3Dプリンターで型枠を作成しコンクリートを流し込むタイプ
ここでは、3Dデータを作成する3つの代表的な方法をご紹介します。
作り方①3DCADソフトを使う
3DCAD(3次元設計支援ソフト)は、機械部品や工業製品のように正確な寸法が必要なモデルを作るのに適したツールです。
たとえば「Fusion 360」や「SolidWorks」といったソフトを使えば、ミリ単位での設計やパーツの組み合わせなどが可能です。
寸法や構造がしっかり決まったモデルを作りたい場合は、まずこの方法が基本になります。
Fusion 360は複数の記事を公開しているので、合わせてご確認ください。
作り方②3DCGツールで自由にデザイン
アート作品やフィギュア、キャラクターのように自由な形状をデザインしたい場合は、3DCGソフトを使うのがおすすめです。
代表的なツールには「Blender」や「ZBrush」などがあり、造形物の表面に細かい凹凸や滑らかな曲線を持たせるといった芸術的な表現にも対応しています。
直感的な操作で自由度の高いモデリングが可能なのが特長です。
Blenderは過去に紹介しているので、合わせてご確認ください。
作り方③3Dスキャナーで実物を取り込む
実物の形状をそのままデジタル化したい場合には、3Dスキャナーを活用する方法があります。
対象物にスキャナーをかざすことで、形やサイズ、表面の凹凸までを読み取り、3Dデータとして取り込むことができます。
この方法は、既存の製品を複製したいときや手作りの模型をデジタル化したい場合に便利です。
取り込んだデータは、必要に応じて編集ソフトで修正や加工も可能です。
無料で3Dデータを入手できるおすすめサイト8選を徹底比較
ここでは、無料で3Dデータを入手できるおすすめサイト8選を徹底比較します。
サイト名 | 日本語対応 | 商用利用 | 特徴・ポイント |
---|---|---|---|
3Dモデラボ | ◯ | 一部可(許可制) | 日本語対応・直感的で初心者に最適。実用品やガジェットも豊富。 |
Thingiverse | × | 個人利用のみ | 世界最大級。作品数が多く初心者〜上級者まで活用可。 |
MyMiniFactory | × | データによる | フィギュア系に強く、完成画像でクオリティを事前確認できる。 |
Cults | × | 一部可 | アートやデザイン性重視のモデルが豊富。オシャレ系に強い。 |
Pinshape | × | データによる | UIが分かりやすく、ミニチュアやおもちゃカテゴリが充実。 |
TurboSquid | ◯ | 商用利用可 | Shutterstock傘下で安心。高精度モデルも多い。 |
CGTrader | × | データによる | 本格的なモデリングデータが揃い、ビジネス用途にも対応。 |
NIH 3D Print Exchange | × | 可(パブリックドメイン) | 医療・教育向けに特化。研究者・医療従事者におすすめ。 |
それではここから、1サイトずつ詳しく解説します。
3Dモデラボ

3Dモデラボは、日本国内で運営されている3Dプリンター用データの共有プラットフォームです。
日本語対応のインターフェースと使いやすい検索機能が特長で、初心者でも直感的に利用できます。
趣味の作品から教育用途まで幅広く掲載されており、一部のモデルは商用利用も可能です。
データはSTL形式が中心で、そのままプリンターに送れる点も便利です。
項目 | 内容 |
---|---|
サイト名 | 3Dモデラボ |
主な特徴 | 日本語対応、初心者向け、STL形式中心 |
対応ファイル形式 | STL |
日本語対応 | ◎ |
商用利用 | △(データごとに異なる) |
Thingiverse

Thingiverseは、MakerBot社が提供する世界最大級の3Dデータ共有サイトです。
ユーザーがアップロードした何十万件ものSTLファイルが公開されており、フィルター機能を使えばカテゴリや用途に応じた検索もスムーズに行えます。
無料で利用できる上に、日用品・フィギュア・教育ツールなど多彩なジャンルを網羅しています。
商用利用についてはモデルごとのライセンスに注意が必要です。
項目 | 内容 |
---|---|
サイト名 | Thingiverse |
主な特徴 | 世界最大級、豊富なカテゴリ、無料利用可 |
対応ファイル形式 | STL、OBJ |
日本語対応 | △(一部自動翻訳) |
商用利用 | △(ライセンス要確認) |
MyMiniFactory

MyMiniFactoryは、ユーザーが投稿したモデルの品質を事前にチェックしてから掲載しているプラットフォームです。
安心して造形できる高品質なデータが揃っており、3Dプリンター初心者にも向いています。
STL形式のデータが中心で、一部は有料モデルもありますが、多くは無料でダウンロード可能です。
項目 | 内容 |
---|---|
サイト名 | MyMiniFactory |
主な特徴 | 品質検証済み、高品質データ、初心者向け |
対応ファイル形式 | STL |
日本語対応 | △ |
商用利用 | △(モデルにより異なる) |
Cults

Cultsは、フランス発の3Dモデルマーケットで、無料と有料データがバランスよく揃っています。
アート作品や日常グッズのデザインが豊富で、ファッション性の高いモデルも見つかります。
投稿されたモデルには使用条件が明記されており、商用利用の可否もすぐに確認できます。
項目 | 内容 |
---|---|
サイト名 | Cults |
主な特徴 | 無料・有料データ、ファッション性高いモデル |
対応ファイル形式 | STL、OBJ |
日本語対応 | △ |
商用利用 | ◯(ライセンス明記) |
Pinshape

Pinshapeは、データの品質評価やレビュー機能が充実しているのが特長です。
多くのユーザーが実際に出力した結果を共有しているため、安心してデータを選べます。
インターフェースは英語ですが、操作はシンプルで使いやすく、カテゴリ検索やタグ機能も便利です。
ライセンス条件は作品ごとに異なるため、使用前に確認が必要です。
項目 | 内容 |
---|---|
サイト名 | Pinshape |
主な特徴 | レビュー機能充実、ユーザー評価あり |
対応ファイル形式 | STL、OBJ |
日本語対応 | × |
商用利用 | △(作品ごとに異なる) |
TurboSquid

TurboSquidは、プロフェッショナル向けの3Dモデルを多く取り扱うマーケットサイトです。
もともとはCGやゲーム、映像制作用途向けのモデルが中心ですが、一部のデータは3Dプリンターでも利用可能です。
高精細な表現や複雑な構造のモデルを探している場合に重宝します。
有料モデルが主ですが、無料データも存在します。
項目 | 内容 |
---|---|
サイト名 | TurboSquid |
主な特徴 | CG・映像制作向けの高精細モデルが豊富。有料が多いが一部無料。 |
対応ファイル形式 | OBJ、FBX、3DS、MAX など |
日本語対応 | × |
商用利用 | ◯(ロイヤリティフリー) |
CGTrader

CGTraderは、無料・有料問わず幅広いジャンルの3Dモデルを扱うオンラインマーケットです。
建築、ゲーム、AR/VR、製造業など、さまざまな分野で利用されており、個人・法人問わず利用されています。
3Dプリンター対応のモデルも多く、STL、OBJ、FBXなど主要なフォーマットに対応しています。
商用利用可能なモデルが多いことから、業務用途でも安心して使えるプラットフォームで、価格帯も手頃で、無料カテゴリも充実しています。
評価システムやユーザーのレビュー機能があるため、品質の良いデータを選びやすいのも魅力のひとつです。
項目 | 内容 |
---|---|
サイト名 | CGTrader |
主な特徴 | 有料・無料両対応。商用向けデータも豊富で用途が幅広い。 |
対応ファイル形式 | STL、OBJ、FBX など |
日本語対応 | × |
商用利用 | ◯(明記あり) |
NIH 3D Print Exchange

NIH 3D Print Exchangeは、アメリカ国立衛生研究所(NIH)が運営する3Dデータ共有サイトで、医療・バイオ・科学分野に特化した3Dモデルが集まっています。
教育機関や研究者、医療従事者などが利用しており、データの信頼性と正確性が高いのが特長です。
掲載されているモデルには、DNA構造、臓器、細胞模型などがあり、医療系3Dプリンティングに取り組む方には非常に有益です。
全データが無料で公開されており、科学教育の教材としても活用されています。
項目 | 内容 |
---|---|
サイト名 | NIH 3D Print Exchange |
主な特徴 | 医療・教育分野に特化した専門モデルを無料提供 |
対応ファイル形式 | STL |
日本語対応 | × |
商用利用 | ◯(教育・研究用途中心) |
3Dプリントを依頼するなら実績多数の『モデリー』に相談!
・幅広い用途に対応
・豊富な制作実績
・多様な素材からモデリング可能
・経験豊富なプロのモデラーが制作
・納得の価格、安定の品質
・サポート、サービスが優れている
モデリーは、建築・都市開発・製造業など幅広い業界向けに高精度の3Dモデルを提供するサービスです。
モデリーでは3Dデータ制作後、3Dプリントまでワンストップで対応可能です。
3Dデータだけではわかりにくいサイズや形状を実物でご確認いただけます。初めから3Dプリントを視野に入れ3Dデータを作成することで、余分な調整がいらずスムーズなプロダクト試作やフィギュア作成が可能です。
弊社では、3Dプリントサービスを運営している実績があるため、3Dプリントの専門性に長けたスタッフが丁寧にご対応いたします。
また、チャットで気軽に相談でき、わからないことを解決しながら進められるため、知識のない人でも安心です。
本サービスは、ゲームを始め、VTuberやAR/VR他幅広い用途に対応し、最適な3Dデータを作成します。
モデリーは、以下のような方におすすめです。
・予算の都合上、低コストで依頼したい
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・指示通りのデザインが完成するか心配
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3Dモデル制作が初めての方からベテランまで、全層におすすめのサービスを提供します。
3Dデータの活用事例
3Dデータは、3Dプリンターを活用するための核となる存在です。
今では製造・医療・建設・教育など、さまざまな業界で実際に導入され、コスト削減や業務効率化、品質向上に貢献しています。
製造業における3Dデータの活用
医療分野における3Dデータの活用
建築・土木分野における3Dデータの活用
教育・研究分野における3Dデータの活用
ここでは、それぞれの分野での活用と具体事例を詳しく見ていきましょう。
製造業における3Dデータの活用

製造業では、製品開発や部品製造における試作段階のスピードアップとコスト削減が主な目的として3Dデータが活用されています。
たとえば、シーメンス(Siemens Gas & Power)では、タービン部品のプロトタイプを3Dプリンターで造形し、リードタイムを最大80%短縮することに成功しています。
加えて、従来の金属加工では困難だった複雑形状の設計も可能になりました。
また、日本の自動車メーカーであるトヨタやホンダも、3Dデータを使った部品モデリングと試作を行っており、開発段階での設計ミスの削減や、風洞実験前の簡易エアロパーツ出力などに活用しています。
医療分野における3Dデータの活用

医療分野では、3Dデータの活用によって、手術の精度向上や医療器具の個別設計が可能になっています。
国内では東北大学病院が先進的な取り組みを行っており、心臓の奇形を持つ小児患者のために、患者ごとの3D心臓モデルを作成しています。
手術前に医療チームが実物大の心臓を確認し、より安全な術式を計画できるようになりました。
また、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学病院では、脳腫瘍の切除手術に先立って脳の3Dモデルを出力し、手術中のリスク軽減に成功しています。
これにより、術後の回復率向上にも貢献しています。
建築・土木分野における3Dデータの活用

建築業界でも3Dデータは、設計案の可視化や施工計画の最適化といった目的で活用が進んでいます。
たとえば、FSC藤原産業は、建設資材の3Dプリント製作を導入し、小ロットの部材を迅速に調達できる体制を整えました。
これにより、従来の発注・製作プロセスに比べて納期が短縮され、在庫リスクも軽減しています。
また、大手ゼネコンの清水建設では、3Dデータによって構造物の詳細な形状を社内外で共有し、現場での施工ミスを大幅に削減可能にしました。
加えて、パナソニックホームズでは、住宅モデルの3D可視化を使った施主説明を実施し、顧客満足度や契約率の向上に貢献しています。
教育・研究分野における3Dデータの活用

教育現場では、3Dデータをもとに作成した立体教材が生徒や学生の理解を深めるツールとして使われています。
たとえば、東京大学では、分子構造や結晶構造などの複雑な科学概念を3Dプリンターで出力し、実際に手に取って観察できる教材として活用しました。
これにより、抽象的な理論の理解を視覚的にサポートしています。
研究分野では、米国のNIH(国立衛生研究所)が運営する「3D Print Exchange」によって、誰でも無料で医療・生物学に関する3Dモデルをダウンロードできるようになっており、実験ツールや標本の出力にも活用されています。
まとめ
本記事では、3Dプリンター用のデータの概要や作り方、過去事例を徹底解説しました。
また、無料で3Dデータを入手できるおすすめサイト8選を比較しています。
3Dプリンターを使いこなすうえで、3Dデータの選び方・作り方・活用方法は非常に重要なポイントです。
自作するのが難しい場合でも、この記事で紹介した無料のデータ配布サイト8選を活用すれば、誰でも手軽に3Dプリンター用のデータを入手できます。
また、業界ごとの事例から分かるように、3Dデータは製造・医療・建築・教育など、幅広い分野で成果を上げている技術でもあります。
あなたの目的に合った方法で3Dデータを準備すれば、高品質な造形や業務効率の向上にもつながるはずです。
まずは使いやすいサイトからお気に入りの3Dデータを見つけて、3Dプリンターのある暮らしを始めてみましょう。

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