研究や教育の現場では、対象を立体的に把握したいというニーズが急速に高まっています。
文字や平面図だけでは伝えにくい情報を、3Dモデルなら実際の構造や動きを直感的に把握でき、教材の質向上や研究効率の改善にもつながります。
医療、工学、考古学、環境科学など幅広い分野で3Dコンテンツの活用が進んでおり、解析ソフトやシミュレーションと組み合わせれば学術的な検証にも役立ちます。
こうした背景から、専門性の高い3D表現を外部へ委託する大学や研究機関の皆様が増えています。
本記事では、研究・教育分野で3D制作が必要とされる理由や外注による利点、具体的な活用例を整理し、研究用3D制作に強みを持つモデリーが信頼されている背景について解説します。
中でもモデリーは教育・研究向けの3D制作に特化した実績を持ち、精度の高いビジュアル表現から教材量産までワンストップで対応できる点が評価されています。研究用3D制作のパートナーを検討する際に有力な選択肢として注目されています。
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なぜ今、研究・教育分野で3Dコンテンツが求められている?
研究と教育の現場では、扱う対象が複雑化し可視化の重要性が高まっています。
3Dコンテンツは立体構造や動作の理解を促し、実物を使った実験や観察が難しい領域でも学習効果を高める手段として注目されています。
| 分野 | 活用例 |
|---|---|
| 医療 | 臓器モデルの可視化や手術トレーニングなどに活用されます。 |
| 工学 | 機構解析や構造理解、設計検証のシミュレーションに利用されます。 |
| 考古学 | 遺物のデジタル復元や文化財保存のための3Dアーカイブに使われます。 |
| 環境科学 | 地形モデルの解析や災害シミュレーションなどで活用されます。 |
特に、医療、工学、考古学、環境科学などでは、対象物を仮想空間で再現することで安全性と再現性を確保しながら詳細な検証が可能になります。
また、教育機関では遠隔授業やオンライン教材が増え、従来の写真や図では伝わりにくい情報を立体的に提示する必要性が高まっています。
3Dモデルを用いることで、学習者は視点を自由に変えながら構造を確認でき、理解の深さが大きく向上します。
加えて、3Dデータは複数の授業や研究テーマで再利用できるため、教育資源の効率化にもつながります。
技術面の進歩も普及を後押ししています。3Dスキャンやフォトグラメトリ、CG制作ソフトが一般的になり、以前より低コストで高精度なデータが扱えるようになりました。
研究用途の解析ソフトと組み合わせれば、定量的な評価やシミュレーションにも活用でき、学術的価値の高い成果に結びつきます。
このように、3Dコンテンツは視覚的理解の強化、再現性の高い研究環境の構築、教育資源の最適化など、多面的なメリットを持つため、研究・教育分野での需要が急速に高まっています。
研究・教育機関が3D制作を外注するメリット
研究・教育機関が3D制作を外注することには、学内では確保しにくい専門性の活用や制作効率の向上など、複数の利点があります。
特に、専門表現の導入、高品質な成果物の早期提供、現場の作業負荷軽減といった効果は大きく、次の3点が代表的なメリットです。
1.専門性の高い3D表現を効率的に取り入れられる
2.高品質な教材・研究成果物を短期間で制作できる
3.教職員・学生の作業負荷を軽減できる
それではここから、1つずつ詳しく解説します。
1.専門性の高い3D表現を効率的に取り入れられる
外部の3D制作会社は商業コンテンツでの制作経験が豊富で、専門性の高い領域にも対応できる技術を備えています。
当社モデリーへ依頼いただいた大学様・研究機関様からは「専門用語や研究背景を踏まえて構造を整理しながら形にしてくれた」「初回のヒアリングで図面や論文の意図をすぐに理解してもらえた」といった声を多数いただいております。
制作開始前の段階からモデラーが研究内容を丁寧に読み解き、立体設計の方針をすり合わせるため、内部制作では難しい高度な表現を短期間で実装しやすくなります。
2.高品質な教材・研究成果物を短期間で制作できる
研究や授業の合間に3D制作を進める場合、撮影準備やモデル調整に思いのほか時間が取られ、研究進行へ影響が出るケースがあります。
外部へ依頼した例では、最初の打ち合わせで教材の利用シーンや必要なカットまで共有いただき、構成案やラフモデルを段階的に提出する形で進行できます。
「モデル構造の確認や修正点の指示だけで済んだので、授業準備の負担が減った」といったコメントも多く、高品質な成果物を短期間で整える際に大きな助けとなります。
3.教職員・学生の作業負荷を軽減できる
3D制作は専門ソフトの習熟や細かな調整作業が必要なため、担当者の負担が大きくなりがちです。
実際のご依頼では、教職員の方が求める「画面上で伝わりにくい部分」をヒアリングし、用途ごとに最適化したデータをこちらで準備するケースが多くあります。
「学生向けには説明重視の簡易モデル」「学会発表用には質感まで作り込んだ詳細モデル」といった形で複数バージョンを作成し、現場の作業時間を削減できます。
その結果、コンテンツ準備の時間が減り、学生指導や研究時間を確保しやすくなったという評価をいただいています。
研究・教育用3Dコンテンツの活用事例
研究・教育の現場では、複雑な概念や見えないプロセスを立体的に理解するための手法が求められています。
3Dコンテンツは視覚情報を精密に表現できるため、教材の質を高めながら学習効果を促進する手段として注目されています。
活用事例①国際教育プラットフォーム向け3D教材制作
活用事例②薬効メカニズムを可視化する3Dアニメーションの制作
活用事例③アノマロカリスの動きをARで再現する3Dアニメーションの制作
下記では、国際教育プラットフォーム向けの教材開発から科学的メカニズムの解説、古生物の動態再現まで、多様な分野での取り組みを活用事例として紹介します。
活用事例①国際教育プラットフォーム向け3D教材制作
当社モデリーは関西大学様との共同プロジェクトとして、留学生向け国際教育プラットフォーム用の学習コンテンツ制作を担当しました。

3DアバターやAI音声、モーションキャプチャーを活用し、講義内容が更新されても柔軟に差し替えできる制作フローを構築しました。
実在の講師に依存しない体制を整えるため、男女1体ずつのバーチャル講師をデザインから3Dモデル化まで一貫して制作しました。

英語発音に特化したAI音声を使用し、声質やトーンも調整しています。
背景や字幕も再編集しやすい形式で設計し、大学様が継続運用しやすい仕組みを実現しました。
必要な素材制作から動画編集までを包括的にサポートし、講義動画の量産と効率化を可能にしています。
プロジェクトの流れ
ここでは、本プロジェクトの具体的な流れを紹介します。
1.ヒアリング・要件整理
2.講師キャラクターデザイン
3.3Dアバター制作
4.講座素材制作
5.動画編集・納品
1つずつ詳しく解説していますので、教育機関向けの3D映像コンテンツ制作に興味がある方はご参考ください。
1.ヒアリング・要件整理
まずはZoomなどのWebミーティングツールを用いたお打ち合わせを設定させていただき、詳しいご依頼の背景やコンセプト、講座に求める雰囲気などについてお伺いし、講座の構成を計画していきます。
お問い合わせは以下よりお待ちしております。
2.講師キャラクターデザイン
ヒアリングを元に、講義の内容や受講者が期待する体験を踏まえて、性格や経歴なども想像しながらアバターとなる講師のキャラクターを2Dイラストでデザインします。
お客様からのフィードバックをいただきながらイメージの擦り合わせを行なっていきます。
3.3Dアバター制作
決定した講師のキャラクターデザインをもとに、実際の動画で使用する3Dアバターのモデルを制作していきます。
モーションキャプチャーを使用して講義中の身振り手振りなどのアニメーションを設定し、リアリティを持たせていきます。
4.講座素材制作
ご提供いただいた資料をもとに、動画コンテンツのベースとなる素材を製作いたします。
キャラクターに合わせた講義音声のAI生成や、音声とアバターを組み合わせたリップシンク動画や字幕の作成、3Dアバターを組み込むレイアウトを踏まえたスライドデザインの調整などを行います。
5.動画編集・納品
制作した講座コンテンツ素材を組み合わせ、講義動画を制作します。
納品時に動画の制作・調整フローをお客様にレクチャー・共有するため、後からの内容修正や改善も可能となります。
活用事例②薬効メカニズムを可視化する3Dアニメーションの制作
教育向けARアプリのコンテンツとして、薬効を可視化する3Dアニメーションを制作しました。
口から取り入れた薬剤が体内でどのように働くかを段階的に示す内容で、仕組みを理解しやすい構成になっています。
Tシャツに印刷されたARマーカーをアプリで読み取ると、各ステップに合わせて説明付きアニメーションが表示される仕様で活用されました。

横浜市で開催された医療系イベントで公開され、朝日新聞にも紹介された実績があります。
活用事例③アノマロカリスの動きをARで再現する3Dアニメーションの制作
当社モデリーでは、アノマロカリス解体新書の表紙に組み込まれたARコンテンツのアニメーション制作からARアプリ上での表示までを担当いたしました。
金沢大学の田中源吾博士の監修のもと、アノマロカリスの形態や動きについて研究成果に基づく精密な再現を行い、細部の表現にも配慮して制作しています。
さらに、ARアプリにはCOCOARを採用し、3Dモデルの調整や動作確認まで一貫して実施いたしました。
古生物界の人気者アノマロカリスの捕食場面をARで再現したデジタルコンテンツ化

古生物の中でも特に注目度が高いアノマロカリスをテーマに、最新の研究成果や発見の積み重ね、長年のファンに支持されてきた背景をまとめた「アノマロカリス解体新書」が企画されました。
本書では、読者の方がより深く魅力を体感できる表現を求めて、アノマロカリスの捕食シーンをARで再現したいというご要望をいただきました。
AR技術を用いることで、古代生物の生態を立体的に理解できる体験型コンテンツとして展開する構想です。
学術知見をもとに外観と動作を緻密に再現したAR表現

アノマロカリスのAR制作では、約5億年前に海で活動していた生物を扱う点が大きな課題でした。
実物資料だけでなく、写真や映像といった記録も残っていないため、形状や動きの解釈を慎重に進める必要がありました。
そこで古生物学を専門とする田中源吾博士に監修を依頼し、研究知見を踏まえた形で外観や体の動きを検証しました。
また、複数のイラストやスケッチを作成してディテールを調整しながら、学術的に矛盾のない姿を追求しました。
こうしたプロセスを重ね、学術資料に基づいた自然な動作と特徴的な造形を再現できました。
書籍情報について
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | アノマロカリス解体新書 |
| 出版社 | ブックマン社 |
| 著者 | 土屋健 |
| 監修 | 田中源吾 |
| イラスト | かわさきしゅんいち |
| URL | https://bookman.co.jp/book/b492356.html |
まとめ
研究や教育の分野では、難解な構造や見えないプロセスを把握するために3Dコンテンツの導入が不可欠になっています。
立体的な視点から対象を観察できるため学習効果が高まり、研究データの再現性確保や資料の共有にも役立ちます。
さらに、多くの授業や研究テーマで使い回せるため教育資源の効率化にも貢献します。
制作を外部へ委託することで、専門表現を取り入れやすくなり、短期間で高品質な成果物を整えられるほか、教職員や学生の作業負荷を抑えるメリットも得られます。
当社モデリーは国際教育プラットフォーム向け教材の開発や古生物の動態を再現するAR制作など、多様なプロジェクトを通じて研究・教育領域に適した制作フローを確立しています。
精密なモデリングからアニメーション、教材量産、AR活用まで対応できるため、研究用3D制作を検討する機関にとって信頼性の高い制作パートナーとしておすすめできます。
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